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NTT、高速OpenFlowスイッチ「Lagopus」をOSSとして公開へ

 日本電信電話株式会社(以下、NTT)は6日、OpenFlow仕様に準拠したSDN(Software Defined Networking)ソフトスイッチ「Lagopus」を、オープンソースソフト(OSS)として7月に公開すると発表した。また、すでにOSSとして公開しているSDNコントローラ「Ryu SDN Framework」を活用し、SDNスイッチのテストセンターを設立する。

 SDNスイッチについては、NTTの未来ねっと研究所(以下、未来研)が、総務省の委託研究「ネットワーク仮想化技術の研究開発」のO3(オースリー)プロジェクトに参画のうえで研究開発を進めており、2013年12月にLagopusのプロトタイプ開発に成功している。

 一方SDNコントローラについては、2012年に、NTT研究所のソフトウェアイノベーションセンタ(以下、SIC)がRyu SDN FrameworkをOSSとして公開し、さまざまな企業、大学、研究機関などと機能拡張を行ってきた。具体的には、OpenFlow対応のみならず、従来のネットワーク機器との連携に必要なさまざまなプロトコルにも対応し、BroadcomやOpenStackプロジェクトなど、いくつもの採用実績を持つという。

 NTTでは今回、これらの取り組みをいっそう進化させるため、Lagopusのプロトタイプを改良し、一般利用が可能なレベルに達したものを、OSSとして公開する。これにより、Ryu SDN FrameworkとともにSDNのエコシステムの拡大を加速する狙いだ。

 Lagopusは、最新の安定版仕様であるOpenFlow 1.3.4に準拠し、データセンターだけでなく、広域ネットワークで利用されるさまざまなプロトコルに対応。また、広く販売されているサーバー仕様を前提として設計・開発されているのも特徴で、マルチコアCPUのような、近年のサーバーアーキテクチャの特徴を効率的に利用するパケット処理の実装と、I/O性能を高速化するIntel DPDKの技術を採用した。これによって、広域ネットワークで要求される大規模・広帯域な通信処理を可能とする、100万フロー制御ルールのサポートや10Gbpsの通信性能を実現している。

Lagopusの適用領域

 またRyu SDN Frameworkを利用し、OpenFlowスイッチの仕様準拠度を確認するツールを開発する。OpenFlow仕様は規定の範囲が広く、更改も頻繁に行われることから、仕様準拠度の高いOpenFlowスイッチの迅速な開発が困難という課題があった。この課題解決に向け、Ryu SDN Frameworkの開発と同様、さまざまな技術者に参画してもらいながら、より良いテストツールの開発を目指すとのこと。

 また、このテストツールを利用して、さまざまなOpenFlowスイッチのテスト結果を公開する。システムやアプリケーションの開発者がOpenFlowスイッチを利用する場合には、要件にあわせ、ソフトウェア型やハードウェア型など、どのスイッチが適しているかを調査する必要がある。しかし、公開したテスト結果を参照してもらえば、誰もが共通的に必要とするような仕様準拠度を確認することが可能なことから、OpenFlowスイッチのさらなる利用促進が期待できるとした。