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ネットアップ、ストレージ仮想化機能を備えた「FAS8000シリーズ」

NetApp FAS8000シリーズの最上位モデル「FAS8060」

 ネットアップ株式会社は20日、中・大規模向けストレージ「NetApp FAS8000シリーズ」を発表した。同社のラインアップにおいて、ミッドレンジからハイエンドの一部を担当する製品で、ソフトウェアオプションによりストレージゲートウェイとしても利用できるようになるという。参考価格は、最小構成で744万円(税別)から。また、ネットアップのストレージに共通して搭載されているOS「clustered Data ONTAP」でも、新版「同 8.2.1」を提供する。

 「NetApp FAS8000シリーズ」は、「FAS3220」から「FAS3250」「FAS6220」「FAS6250」までの製品を置き換える新しいストレージ製品群。「FAS8020」「FAS8040」「FAS8060」の3モデルがラインアップされており、「既存製品と同等の価格で、2倍以上のパフォーマンスを提供できる」点が特徴という。

FAS8000シリーズの特徴
FAS8000シリーズと既存モデルの位置付け

 またFAS8000シリーズでは、ソフトウェアオプション「FlexArray」の追加により、自社/他社のストレージを接続して、ストレージゲートウェイとしても使えるようになった。現在、対応するストレージは自社の「E5400」「E5500」とEMC、HDS(日立)の一部ストレージのみだが、FAS8000シリーズと、そこに接続したストレージを1つのストレージであるかのように利用できるため、管理性や柔軟性が向上するのは、大きなメリットといえる。

 従来、こうした機能はゲートウェイアプライアンス「NetApp Vシリーズ」のハードウェアで、別の製品ラインとして提供されてきたが、これからはFASシリーズのソフトウェアオプションとして提供するようになるという。

 ネットアップがこのように方針を変えた理由には、同社の仮想ストレージ戦略がある。システム技術本部 執行役員 本部長の近藤正孝氏が「Software Defined Storage(SDS)は、ベンダーが別々の解釈で話しているが、それがストレージを仮想化・抽象化・プール化して自動化を容易にするという意味なら、clustered Data ONTAPはすべてを満たしている」と話すように、ネットアップではclustered Data ONTAPを中心としてSDSを実現しようとしている。

 しかし、すべてのユーザーの環境がネットアップ製品だけで構成されているわけではないため、他社ストレージとの連携が要求されてくることは、想像に難くない。そのためにも、Vシリーズで培ったノウハウをFASシリーズにも取り込み、利用しやすい形でユーザーへ提供することは、必要なことだったのだろう。システム技術本部 エバンジェリストの河西学氏は、「Vシリーズで運用のメリットを感じているお客さまはかなりいらっしゃる。重複排除や仮想サーバーを多数運用することに寄与できる部分は大きい」と述べ、その価値を強調した。

FlexArrayにより、ストレージ仮想化をより強化

 また今回は同時に、clustered Data ONTAPについても、新版の同 8.2.1が提供された。この最大の特徴は、無停止でのアップグレードを行えるようにした点だ。ネットアップでは、ディスクシェルフに接続されているコントローラを交換することにより、上位(あるいは後継)機種へアップグレードできる仕組みを提供してきたが、今回これを無停止で行えるようになった。さらに、SQL Server over SMB 3.0やLDAP over SSLのサポート、SnapMirrorとSnapVaultでのファンイン構成の拡張などを実現している。

clustered Data ONTAP 8.2.1

石井 一志