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ネットアップ、ストレージOS新版「clustered Data ONTAP 8.2」~クラスタストレージを積極展開

 ネットアップ株式会社は11日、自社ストレージ向けOSの新版「clustered Data ONTAP 8.2」を発表した。クラスタストレージとしての展開を進めるため、従来の名称である「Data ONTAP」から変更し、「既存、新規を問わず商談の際にはクラスタストレージをお客さまに勧めていく」(ネットアップ マーケティング本部長のダニエル・ハンソン氏)戦略を取るという。

 創業以来、Data ONTAPの名称でストレージOSを提供していたネットアップでは、Data ONTAP 8世代から、別路線の「Data ONTAP GX」で展開されていたクラスタストレージを「Cluster-mode」として取り込み、従来のData ONTAPの路線を受け継いだ「7-mode」と、2本柱での展開を進めてきた。またその後、Cluster-modeをclustered Data ONTAPへ改称していたが、さらに、OS全体を指す名称をclustered Data ONTAPへ変更したことになる。

ネットアップ マーケティング本部長のダニエル・ハンソン氏

 今後、戦略商品として推進されるclustered Data ONTAPのクラスタストレージでは、複数のNetApp FASストレージ、あるいはNetApp Vシリーズのゲートウェイを単一のストレージとして利用できるようになる、スケールアウトを実現している。

 従来のアプローチでは、性能が足りなくなればコントローラを、容量が足りなくなればシェルフを増設するスケールアップ型のアーキテクチャが一般的だったが、この手法では、拡張・交換する際にサービスの一時停止を余儀なくされてしまうし、投資の保護という観点からも、ユーザーに負担をかけてしまう。

 しかしスケールアウト型の手法であれば、ノードを増やすことにより、サービスを停止することなく、容量とアクセス性能を同時に拡張できるメリットがある。

 こうしたアプローチは、いわゆるスケールアウトNAS/SANのストレージでは一般的になっているものの、「ほとんどの製品はNAS、あるいはSAN(IP SAN)のみをサポートしており、SANとNASをサポートするのは当社だけ」(米NetApp Data ONTAP/管理製品グループ 戦略/プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのジョン・フレデリクセン氏)という点が、ネットアップならではの強みになる。

米NetApp Data ONTAP/管理製品グループ 戦略/プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのジョン・フレデリクセン氏
clustered Data ONTAP

 そして今回のclustered Data ONTAP 8.2では、このクラスタストレージとしてのスケーラビリティや運用性を向上させた。スケーラビリティの面では、最大で69PBのストレージ容量と24のコントローラノード(NAS構成時)に対応。SAN構成時にも、従来の最大4ノード構成から、今回は最大8ノード構成まで拡張できるようになり、4万9000のLUN(Logical Unit Number)までの拡張をサポートしている。

 一方の運用性では、筐体単位でなくコントローラ単位でクラスタリングが可能になった。これにより、コントローラが冗長化されていれば、OSのアップグレードなど、メンテナンス時にもシステムを停止する必要がなくなっている。さらに、2ノード構成時に、ネットワークスイッチがなくてもクラスタ化が可能になったことで、小規模構成時のコストを削減できるとした。

 このほか、7-Modeからの移行ツールを提供するほか、VMware vSphere Storage API、Horizon Suite、vCloud Suite向けの拡張サポートにより、VMwareの共有インフラ/ハイブリッドクラウド環境への対応を強化。SMB 3.0やODXへの対応など、Microsoft仮想環境へのサポートも強化されるなど、数多くの強化が行われているとのこと。

無停止でのオペレーションを可能に
導入を容易にする機能も盛り込まれた

 なおネットアップによれば、クラスタストレージとしてNetApp製品を利用している顧客は、ワールドワイドで1000社・3000システムなのに対し、国内ではまだ30社に限られているとのこと。ただし、ハンソン氏は、「clustered Data ONTAP 8.2を待っていたお客さまも多く、今年は600システムくらいを目標に取り組む」と述べ、主力商品として取り組むことで、急速に普及するとの見通しを示している。

石井 一志