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富士通、2013年度上期の連結決算は増収増益~携帯電話事業は低迷も「スマホ撤退はない」
(2013/11/1 06:00)
富士通株式会社は10月31日、2013年度上期(2013年4月~9月)の連結業績を発表した。
売上高は、前年同期比3.9%増の2兆1516億円、営業利益は同149.6%増の108億円、経常利益は前年同期の4億円の赤字から139億円の黒字に転換。当期純損益は前年同期の144億円の赤字から47億円改善し、96億円の赤字となった。
富士通 取締役執行役員専務の加藤和彦氏は、「7月に公表した予想では上期は低調に推移すると見ていたが、実際には国内外の受注が堅調であったことに加えて、円安の効果もあり、前回予想に比べて売上高は1016億円、営業利益は208億円上回り、経常利益は239億円の改善となった」と説明した。
テクノロジーソリューションは好調、ユビキタスは大幅減
セグメント別業績では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比9.1%増の1兆4629億円、営業利益は同33.3%増の583億円。そのうち、サービス事業は売上高が同8.9%増の1兆1866億円、営業利益が同24.1%増の422億円。サービス事業のうち、ソリューション/SIの売上高は同8.8%増の4143億円、インフラサービスの売上高は同9.0%増の7722億円となった。
「サービス事業は、前年から若干の増益を見込んでいたが、国内外ともに堅調で計画を上回った。しかし、国内の特定プロジェクトで計画外の追加コストがあったため、利益率は5%に届かず、3.6%にとどまった」としている。ソリューション/SIは、通信キャリアの投資がハードウェアにシフトしている影響があったものの、金融、公共向けを中心とした投資の拡大により増収となった。インフラサービスは、ISP事業で回線料金込みのパック商品から単体商品へシフトしている影響があったほか、前年同期に通信トラフィックの増加対策を背景としたネットワークサービス関連の需要増があったため、国内は減収となった。一方、海外は19.6%の増収であった。
システムプラットフォーム事業の売上高は前年同期比10.0%増の2763億円、営業利益は同65.6%増の160億円。そのうち、システムプロダクトの売上高が同4.4%増の1157億円、ネットワークプロダクトの売上高が同14.5%増の1605億円となった。
「システムプロダクトは、北米市場でUNIXサーバーの新機種を投入して2ケタの伸びを見込んでいたが、立ち上げが遅れている状況。一方、国内では公共向けの大型システム商談が堅調に推移し増収となった。ネットワークプロダクトは、北米市場を中心に1ケタの伸びを見込んでいたが、北米向け光伝送システムにおける通信キャリアの投資回復が大きく、計画を上回る伸びを達成した」という。
ユビキタスソリューションは、売上高が前年同期比12.9%減の4786億円、営業利益は前年同期の104億円の黒字から391億円悪化し、287億円の赤字となった。そのうち、パソコン/携帯電話の売上高が同22.3%減の3263億円、モバイルウェアの売上高が同17.8%増の1523億円となった。
大幅な減収減益となったユビキタスソリューションについて加藤氏は、「計画では、パソコンは前年並み、携帯電話は減収と見ていたが、パソコンは法人向けがOSの製品サポート終了にともなう買い換え需要により増収となった。一方、携帯電話は、出荷台数が月平均20万台と計画を大きく下回り、売り上げベースでは前年から約1000億円の減収となっている。モバイルウェアは、北米向けを中心に海外ビジネスが好調で、計画を上回った。営業利益は、携帯電話の販売低迷に加えて、円安および機能向上によるコスト増加もあり、計画よりも100億円赤字幅が拡大した」と、携帯電話事業の不振が大きく影響したと説明している。
デバイスソリューションは、売上高が前年同期比13.3%増の3044億円、営業利益は、前年同期の70億円の赤字から250億円改善し、180億円の黒字に転換した。そのうち、LSIの売上高は同11.7%増の1610億円、電子部品は同15.5%増の1444億円となった。
「デバイスソリューションは、LSI、電子部品ともに2ケタの伸びとなった。営業利益も計画を上回っており、特にLSIについては、当初計画は前年並みと見ていたが、スマートフォン向けが堅調だったことに加え、為替による追い風も加わって83億円に益転した」としている。
通期見通しは上方修正、PC出荷台数も
同社では、2013年度上期の連結業績が、7月30日に公表した計画に対して、売上高で約1000億円、営業利益で約200億円上回ったことを受け、2013年度通期業績見通しを上方修正した。
7月公表値に比べて、売上高を700億円増額して4兆6200億円とした。営業利益は1400億円、経常利益は1350億円、当期純利益は450億円と、前回計画から変更していない。
セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高が、7月公表値に比べて500億円増の3兆1500億円、営業利益が170億円増の2070億円。内訳ではサービス事業の売上高が700億円増の2兆5500億円。そのうち、ソリューション/SIは300億円増の9000億円、インフラサービスは400億円増の1兆6500億円とした。システムプラットフォームの売上高は、200億円減の6000億円。そのうちシステムプロダクトは300億円減の2650億円、ネットワークプロダクトは100億円増の3350億円としている。
「ソリューション/SIについては、9月現在で注残が2ケタのペースで伸びており、下期もこの勢いが続くと期待している。インフラサービスは、上期における欧州事業の為替益などを織り込んでいる一方で、下期は欧州事業に不透明感があり、リスクが残っていると見ている。システムプロダクトは、国内での大型商談が次年度にずれ込むことから減額とした。ネットワークプロダクトは、下期は北米需要がスローダウンするものの、国内需要がこれをカバーすると見ている」という。
また、ユビキタスソリューションの売上高が400億円増の1兆600億円、営業損益は220億円減の150億円の赤字とした。内訳ではパソコン/携帯電話の売上高が250億円増の7550億円、モバイルウェアは150億円増の3050億円とした。デバイスソリューションの売上高は300億円減の5900億円、営業利益は前回から据え置き250億円とした。内訳ではLSIの売上高が100億円減の3100億円、電子部品は200億円減の2800億円とした。
「パソコンは、現状の受注状況から、国内法人向けの引き合いが強いと判断し、出荷台数を15万台増加し550万台に上方修正する。一方、携帯電話は、上期の出荷台数130万台から、下期では290万台の達成を目指すが、年間では420万台へと下方修正する。前年に比べて4割減となり、この大幅な減収をユビキタスソリューションに織り込んでいる」と、携帯電話事業は前年から大きく落ち込む見通しを述べた。
NECがスマートフォン事業から撤退したことを受け、同社の対応について問われた加藤氏は、「現在のスマートフォン市場は混迷期に入りつつあるが、まだまだニーズは大きく、市場の将来性もある。数年後には、スマートフォンの形態が変わっている可能性もあるが、今この市場から逃げてはいけないと考えている」と、スマートフォン事業を継続していくことを強調した。