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富士通、全社ビジョンを基軸に技術や商品を新たに体系化
「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」実現へ
(2013/4/11 06:00)
富士通株式会社は4月10日、全社ビジョンとして掲げる「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」を基軸に、ビジネス・社会のイノベーション・コンセプト、その実現に向けた技術・商品のコンセプト、および対応する商品群を「Fujitsu Technology and Service Vision」として体系化したと発表した。
新体系の発表にあたり、富士通 代表取締役副社長 マーケティング部門長の佐相秀幸氏は、「当社は、『ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ』を全社ビジョンとして提唱し、顧客の既存ICT領域のモダナイゼーション、さらにはその先のビジネスの現場や社会基盤領域におけるイノベーション実現を支援している。今回、このビジョンと、当社のもつ具体的な商品やサービスを結びつけ、新たに体系化することで、ヒューマンセントリックなICTの実現に向けたコンセプトやアクションを社内・社外に発信していく」との考えを示した。
「Fujitsu Technology and Service Vision」の構成としては、まず、「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」実現に向けて、顧客や社会とともに実行していく「人」「情報」「ICT」に対応するアクションを、(1)人が活動する場でのイノベーション実現、(2)ビジネス・社会を情報装備、(3)End-to-Endで全体最適化――の3つに整理。
そして、「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」の実現に向けたビジネスと社会のイノベーションの姿として、高度な情報利活用が人々の活動に変革をもたらす6つのコンセプト、(1)フィジカル+ディジタルのビジネスモデル、(2)情報が結びつける世界、(3)コンピューティングのもたらす新たな力、(4)リアルタイムの対応、(5)人のつながりと協働、(6)インテリジェントな社会基盤――と、それぞれの先行事例を紹介している。
さらに、「人」「情報」「ICT」に対応する3つのアクションを具体的に実行するために、富士通が中期的に開発・提供していく技術・商品を8つのICTバリューとして体系化。具体的には、「人が活動する場でのイノベーション実現」として、(1)インテグレーションによる価値創造、(2)オンデマンド・エブリシング、(3)モビリティーとエンパワーメント、「ビジネス・社会を情報装備」として、(4)情報からの新たな価値、(5)セキュリティとガバナンス、「End-to-Endで全体最適化」として、(6)モダナイゼーションからイノベーションへ、(7)統合されたコンピューティング、(8)ネットワーク・ワイドな最適化――の8つに体系化している。
各コンセプトの内容は、「インテグレーションによる価値創造」では、従来のICTシステムと新たなテクノロジーサービスを最適にインテグレーションするほか、モダナイゼーションとイノベーションを連動させて顧客と価値共創を行う。「オンデマンド・エブリシング」では、顧客の目的に対して柔軟に対応するクラウドサービスを迅速に統合。また、高信頼のクラウドサービスをグローバルに展開していく。「モビリティーとエンパワーメント」では、ビジネス向けモバイル・サービスプラットフォーム事業を展開するとともに、ヒューマンセントリックなICTの力で人々の活動をサポートする。
「情報からの新たな価値」では、ビッグデータ活用クラウドサービスと、顧客のサイトに設置して利用するソフトウェア・システムの両輪で情報装備を実現。多様な企業や組織間の情報利活用の場として「DataPlaza」を提供する。「セキュリティとガバナンス」では、情報セキュリティ、ガバナンス、プライバシー保護をトータルに考え、最適なソリューション・サービスを提供。また、認証基盤を充実させ、サイバー攻撃に備えた「セキュリティ・インテリジェンス」を提供していく。
「モダナイゼーションからイノベーションへ」では、既存ICT資産の最適化による維持運営コストの負担軽減とイノベーションを生み出していくための基盤づくりを推進する。「統合されたコンピューティング」では、ハード・ソフト技術とインテグレーション・運用ノウハウを駆使し、業務に最適化されたコンピューティング・システムを提供。垂直統合システムとして「Dynamic Integrated Systems」を展開する。「ネットワーク・ワイドな最適化」では、コンピューティング、ネットワーク、モビリティ技術をSDNの考えに基づいて融合し、ネットワーク・ワイドで最適化されたICT基盤を提供していく。さらに、次世代ICT基盤のアーキテクチャ「Fujitsu Intelligent Networking and Computing Architecture」を策定する。
富士通 執行役員 マーケティング部門 副部門長の松本端午氏は、「ビジョンを基軸に技術や商品、サービスを体系化するのは、当社にとって今回が初めての取り組みとなる。当社の事業を体系立てて紹介することで、顧客に総合的な価値を提供していくとともに、顧客からの声も反映させ、さらなる価値向上を図っていく」と述べた。
今後の展開については、「基礎研究の方向性としては、富士通研究所が中心となり、研究開発戦略を進めていく。また、今回の体系をすべての顧客に向けたコミュニケーションのメッセージ基盤とし、5月16日・17日に開催予定の『富士通フォーラム』も新体系をベースに企画・展開する。商品戦略についても、この『富士通フォーラム』にあわせて、モビリティ関連、SDN関連、クラウド関連など統合された商品ポートフォリオを順次発表していく」(松本氏)と説明している。