ブロケード、イーサネットファブリック対応のシャーシ型スイッチ「VDX 8770」


Brocade VDX 8770
米Brocadeのデイブ・スティーブンスCTO

 ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(以下、ブロケード)は3日、イーサネットファブリック技術に対応したスイッチ「Brocade VDXシリーズ」のラインアップに、初のシャーシ型である「Brocade VDX 8770」を追加すると発表した。

 「VDXシリーズ」は、スイッチをクラスタ化する技術「Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)」に対応したスイッチ製品群。標準ベースのTRILL(TRansparent Interconnection of Lots of Links)を用いてフラットなレイヤ2ネットワークである“イーサネットファブリック”を構築できる点が最大の特徴で、すでに700を超える企業で利用されている。

 TRILLでは、例えばA地点からB地点への経路において同じ長さのパスが複数存在する場合、複数のパスに分散してデータを流すので、基本的にはネットワークを構成しているすべてのケーブルを利用することになる。しかも、こうした最適な経路を計算する作業はスイッチが自動的に行うため、管理者は特に意識することなく冗長化と高速化を達成可能だ。

 また、こうした技術が注目を集めてきた背景には、サーバー仮想化の進展に伴って、データセンターにおけるネットワークの構成がより複雑化していることがあるという。サーバーが仮想化され、ライブマイグレーションによって稼働する物理サーバーを移動することが増えているが、そうするとネットワーク管理者はネットワーク設定をいちいち変更し、経路の変更に対応しないといけなくなる。

 米Brocadeのデイブ・スティーブンスCTOは、「(仮想化されていない)モノリシックなアプリケーションがサーバーで稼働し、あまり場所を移動することがなかった時代はともかく、(アプリケーションが仮想化によって)モジュール型になり、イースト・ウエスト(サーバー間)のトラフィックが急増してきた現在では、従来型のネットワークでは対応できない」という点を強調。フラットなイーサネットファブリックの必要性を訴えた。

 新製品の「VDX 8770」は、主にトップオブラック(ToR)向けに提供されていた従来のVDXシリーズと比べて、より大規模な環境に対応可能。4スロットモデルと8スロットモデルが用意されており、8スロットモデルではシャーシ内に最大384の10Gigabit Ethernet(GbE)ポート、あるいは最大96の40GbEポートを搭載できるのに加え、将来的には100GbEへの対応も見据えている。

 また、単一のファブリックでは最大8000ポートまでの拡張に対応し、仮想マシンについても、競合の約20倍となる最大38万4000個をファブリックへ接続できるようにした。さらに、レイヤ3でマルチパスを実現するVRRP-Eへ対応したほか、VMwareやCiscoが推進しているVXLANの、ハードウェアによる処理もサポートしたとのこと。

 「ボックス型で、スモールスタート可能という点を売りに提供してきたVDXシリーズだが、スケーラビリティを求める声がお客さまから出てきたため『VDX 8770』を製品化した。ToRではなく、(複数のラックに収容されたサーバー全体を束ねる)エンドオブローのスイッチとして利用するお客さまも出てきている」(ブロケードの青葉雅和社長)。


ブロケードの青葉雅和社長VDX 8770の特徴
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