理研のスパコン「京」が完成、9月末より共用を開始


 独立行政法人理化学研究所(以下、理研)と富士通株式会社は2日、共同開発してきたスーパーコンピュータ「京(けい)」が6月29日に最終的な動作確認試験を終え、完成したと発表した。今後は先行利用を継続しつつ、運用環境設定や調整運転、ユーザー登録など共用に供するための環境整備を進め、9月末から供用開始する予定。

 「京」は、文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HCPI)の構築」計画のもとで構築が進められてきたスーパーコンピュータ。スーパーコンピュータの性能ランキング「TOP500」では、現在は2位ながらも、2011年6月、2011年11月の2期続けて世界1位を獲得。HPCチャレンジ賞 4部門すべてでの首位獲得、ゴードン・ベル賞受賞などの実績を残している。

 その「京」は、2010年9月末から搬入作業を開始し、864筐体すべての搬入・据え付けが2011年8月末に完了。2011年秋以降は、大規模システム環境下でのOS、ジョブマネージャ、並列化ライブラリなどシステムソフトウェアの整備・調整を行ってきた。また2011年4月からは、一部の研究者による先行利用も開始されている。

 そうした中で6月29日に、ユーザーの利便性やハードウェア性能を最大限に引き出す機能を備えたシステムソフトウェアが整い、「京」全体の動作確認が終了。完成の運びとなった。

 今後は、シミュレーション精度や計算速度の飛躍的な向上により、さまざまな計算科学の分野で広く利用され、世界最高水準の成果創出に貢献することが期待されているとのこと。例えば、次世代半導体材料をシミュレーションで解析して早期に開発したり、エネルギー変換効率の高い太陽電池開発へ貢献したり、新薬の開発期間の短縮や開発コスト削減など創薬へ応用したり、といった例が挙げられている。


「京」整備状況の写真(2011年11月時点)
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