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NTT-ME、AIサーバーを想定したコンテナ型データセンター事業への参入を発表

 NTT東日本子会社の株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー(以下、NTT-ME)は22日、AIサーバーを想定したコンテナ型データセンター事業に参入すると発表した。

 ブランド名は「JPDC AI Container」。NTT-MEのデータセンター関連サービス「JPDC(Japan Premium Direct Connect)」のブランド内で展開する。

NTT-MEのコンテナ型データセンター事業「JPDC AI Container」

北海道石狩市に土地を年内取得、1基目は最短で2027年4月に稼働開始

 NTT-MEでは第一弾として、北海道石狩市でコンテナ型データセンター「JPDC AI Container Village@石狩」を建設する。約5万㎡の土地を2025年内に取得。この土地は最大14基のコンテナ型が構築可能で、1基目のコンテナ型データセンターは、最短で2027年4月の稼働開始を計画している。

 コンテナ型データセンター1基あたりのスペックは、受電容量2MW(ITロード約1.5MW)、ラック数最大40ラック。冷却方式は、液冷サーバーの「DLC(Direct Liquid Cooling、直接冷却)」と、ラック間の「InRow空調機」のハイブリッド型。

 土地はコンテナ型データセンター14基分の敷地があるが、一度に建てるのではなく、顧客からの申し込みの後に構築していく予定。構築期間は約1年。2回目の構築は2027年度第2四半期、3回目の構築は2028年度第1四半期を予定している。これらは高圧電力の受電によるものだが、その後は特別高圧電力の利用を考えているため、2031年ごろに電力が供給され、2032年ごろの建設を予定している。

 なお、NTT-MEでは1コンテナを1社で占有する形だけを想定しているわけではないが、顧客企業の申し込みの後に建てていくことなどから、1社占有が基本になるのではないかと考えているという。

 顧客ターゲットとしては、受電容量を考えると、ハイパースケーラーまでは想定しておらず、国内のSIerや製造業、大学などを想定しているという。

コンテナ型データセンターのイメージ(画像提供:NTT-ME)
石狩エリアでのコンテナ型データセンターの展開と、主なスペック
石狩エリアでのコンテナ型データセンター展開イメージ

 今後の展開としては、まず、コンテナ型データセンターは狭いスペースで設置可能であることを生かして、自治体や企業の空きスペースなど全国に拡大していく。

 また、自社ブランドだけでなく、他社ブランドのデータセンターとしても、GPU対応のコンテナ型データセンターのワンストップソリューションとして、データセンター事業者に2026年度から提供していく予定としている。

 さらに、NTTグループの大容量・低遅延な「IOWN APN」回線によって、石狩エリアと東京地域などの他エリアのデータセンター間接続も計画。距離が離れていても単一のデータセンターと遜色ないオペレーションにより、ワット・ビット連携を実現する考えだ。

今後の展開

コンテナ型データセンターなら約1.5年で建築して運用開始

 22日に開催された記者説明会で、NTT-MEの水津次朗氏(通信キャリア&データセンタビジネス部 データセンタ事業推進部門 部門長)は、NTT-MEのコンテナ型データセンターのポイントについて説明した。

 背景として、高まるAIニーズに対して、AI用の高発熱サーバー対応のデータセンターが需要に追いついておらず、AI用データセンターの在庫が全国的に枯渇していると語った。

 ただし、従来型のビル型データセンターは、建てるのに30カ月、設計と合わせて約4.5年かかり、さらに特別高圧電力の供給に72カ月(6年)ほどかかってしまい、足元のニーズに応えられないと述べた。

 これに対してコンテナ型データセンターでは、建てるのが12カ月、電力も特別高圧電力ではなく高圧電力であれば4カ月で供給されるため、約1.5年で建築して運用開始できるという。これによって、AIのニーズに応じたタイムリーな提供と、AIの技術進化に伴う新たなニーズへの対応ができると、水津氏はメリットを語った。

NTT-MEの水津次朗氏(通信キャリア&データセンタビジネス部 データセンタ事業推進部門 部門長)
ビル型データセンターとコンテナ型データセンターのスケジュール比較

 石狩エリアに建設する理由については、国内のデータセンターが東京・印西と大阪に集積しており、電力ひっ迫から経産省・総務省が「ワット・ビット連携官民懇談会」を開いて、そこで石狩と福岡が期待されているという。

 中でも石狩エリアについては、苫小牧から石狩にかけての北海道道央エリアを半導体やデータセンターなどの先端技術産業が集まる拠点にしようという、北海道の「北海道バレー構想」で産官学が一体となって産業誘致を推進しており、NTT東日本グループも理念に共感していると水津氏は語った。

 この地域が、石狩エリアに他社のデータセンター集積が期待されるホットな場所であることや、秋田・北米からの海底ケーブル陸揚げが予定されていること、ラピダスの半導体工場が建設中であることに加え、NTT-MEとしてもIOWNの提供を通じた収益化が期待できることから、「JPDC AI Container」の第一弾のエリアとして選んだと説明した。

国内データセンターの集積状況とワット・ビット連携
北海道バレー構想と、石狩エリアへの期待