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TISとQuantum Mesh、液浸冷却技術を活用したAI基盤サービスの開発・展開を目的に協業

 TIS株式会社とQuantum Mesh株式会社は22日、Quantum Meshが提供する分散型エッジデータセンターや液浸冷却システム「KAMUI」を活用したAI基盤サービスの開発・展開を目的に、10月に協業を開始すると発表した。

 エンタープライズ向けの豊富な開発・運用実績と国内最大級のデータセンター網を持つTISと、分散型エッジデータセンター・液浸冷却システムに関する高い技術力を持つQuantum Meshが双方の強みを生かし、GPUサーバー需要の増大やデータセンターの高負荷化・電力コスト高騰といった課題に対応するAI基盤サービスを共同で展開する。

今回の協業における事業構想イメージ

 TISは、東京都心に延床面積約2万㎡の都市型データセンター「東京第4データセンター」を保有している。免震構造と最新設備を備え、エンタープライズを中心とした顧客基盤にサービスを提供している。豊富な開発実績・運用力を持つ一方、AI時代に備え、データセンター事業のさらなる付加価値向上と、AIを活用したサービスを軸とした新規顧客の獲得強化が急務となっていた。

 Quantum Meshは、分散型エッジデータセンターの開発と運営を行うスタートアップ企業で、2025年3月にはGPUサーバー自体を冷却液に浸し、サーバーから発生する熱を吸収する仕組みを採用した液浸冷却システム「KAMUI」を開発し、国内で初めて商用化した。高効率かつセキュアなサービスアセットを保有する一方、市場拡大に対応するための体制強化や展開力の向上が課題となっていた。

 こうした背景を踏まえ、TISとQuantum Meshは、データセンターの高負荷化や電力などのコスト高騰といった課題に早期に対処し、冷却効率の向上と運用コスト削減を両立させる「高効率なAI基盤サービス」の早期提供を目指して、今回の協業に至ったとしている。

 協業では、TISとQuantum Meshのデータセンターをハイブリッド活用した新サービスの共同開発・提供や、分散型エッジデータセンターおよび新サービスの共同保守・運用、分散型エッジデータセンターの共同での設置拡大、液浸冷却システム「KAMUI」の販売・共同開発、セキュアデータ基盤のサービス展開などの取り組みを検討する。これにより、AIのトレーニングや推論に最適で高効率なAI基盤サービスの提供を目指す。

 2025年11月頃から約6カ月にわたり、液浸冷却システム「KAMUI」のファーストユーザーとなる企業とともに、液浸冷却システムの運用や追加開発機能などの検証を目的としたPoCを実施する。その成果を踏まえ、2026年夏頃から両社のデータセンターをハイブリッドで活用し、社内データを活用したAIモデル構築や業界・業務特化型LLM構築といった、幅広いニーズに対応可能なAI基盤サービスの提供開始を目指すとしている。