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デル・テクノロジーズ、“AI時代”に向けてビジネスPCのラインアップを整理
Microsoft 365 Copilotの活用を支援するアドバイザリーサービスも
2025年4月1日 06:15
デル・テクノロジーズは1月に、PCブランドの刷新を発表。それにあわせた製品投入を順次進めてきたが、このほど、法人向けメインストリーム製品となるDell ProやDell Pro Plus、ワークステーションであるDell Pro Maxを、日本市場に新たに投入すると発表した。
これにより、ノートPC、デスクトップPC、ワークステーションの新たなラインアップがほぼそろうことになる。さらに、Copilotの活用により業務の生産性をさらに向上させる新サービス「Microsoft 365 Copilot アドバイザリーサービス」も発表した。
デル・テクノロジーズ クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 ブランドマーケティング部長の佐々木邦彦氏は、「AI時代に適応したシンプルなPCポートフォリオが完成した。AI PCの価値をしっかりと提案できるラインアップが整っている。これまでにデルを購入したことがないお客さまにとっても選びやすい構成になっている」と胸を張る。
また、「シリコンダイバーシティを実現しており、AI時代の用途の多様化に対応するほか、Copilot+ PCならではの活用方法も提案していく。AI開発に取り組む人たちにもハイパフォーマンスGPUを搭載したラインアップを用意できた。クラウドベースのAI機能の活用は、すべてWindows 11デバイスで可能になる。NPUを登載したデバイスによって、ローカルでAIを活用でき、セキュリティやプライバシーを守ることができる」などと語った。
なお、デスクトップPCは、約2年間の長期間に渡って販売が可能なモデルとして開発したという。
同社では、2025年1月に発表したPCブランドの刷新において、XPSやInspiron、Latitude、Vostro、Precisionといった製品ブランドを見直し、コンシューマ、学校、ビジネス向けの「Dell」、プロフェッショナルレベルの生産性を発揮する「Dell Pro」、最高峰のパフォーマンスを発揮する「Dell Pro Max」に再編した。
さらにDellおよびDell Proでは、基本的なパフォーマンスと生産性を発揮できるベースモデルの「Dell/Dell Pro」に加えて、モバイルに適し、先進的なデザイン性を備えた製品群となる「Dell/Dell Pro Premium」、選択オプションが広く、拡張性の高い製品群として「Dell/Dell Pro Plus」を用意している。
また、DellおよびDell Proの製品ブランドは、モニターや周辺機器、サービスにも展開。一方で、ゲーミングPCブランドである「Alienware」はそのまま維持している。
Dell ProシリーズのノートブックPCでは、エントリーモデルのDell Proにおいて、14型および16型ノートPCを用意。インテルCore UltraプロセッサーUシリーズと、 AMD Ryzen/Ryzen AIプロセッサーシリーズを選択でき、CPU の選択によってシャーシカラーを選択できるモダンデザインを採用している。メインストリームのDell Pro Plusでは、アルミニウム製のスタイリッシュなデザインを採用した13型、14型、16型ノート PCと、13型および14型2-in-1 タイプの製品をラインアップしている。
デル・テクノロジーズ マーケティング統括本部 クライアント製品ブランドマーケティング アナリストの倉田実奈美氏は、「インテル、AMD、クアルコムを選択できるほか、AI性能の向上とともに、バッテリー駆動時間を20~30%改善。さらに、モジュラー型USB Type-Cポートの採用により、保守性を高めたことが主な改善点になる」という。
モジュラー型USB Type-Cポートは、基板にハンダ付けしていたポートを、ネジで固定する仕組みに変更。ねじれ抵抗が最大4倍、衝撃抵抗が最大33倍向上しており、強度と耐久性を改善。故障した際に基板全体を交換するのではなく、モジュラーを交換するだけで済む。法人向けPCで、モジュラー型USB Type-Cポートを搭載したのは世界初だという。さらに、I/Oポートもモジュール化。システム内へのほこりの侵入を防ぐダストメッシュも新たに採用した。
Dell ProシリーズのデスクトップPCでは、Dell Pro Micro、Dell Pro Slim、Dell Pro Tower、Dell Pro 24 All-in-Oneの4つの筐体を用意。NPUを搭載したインテルプロセッサーに加えて、NPUを搭載したAMDプロセッサーを採用したモデルも選択できるようにした。また、筐体デザインを見直し、熱効率と静音性を大幅に向上させたという。
デル・テクノロジーズの倉田氏は、「静音性は、Towerでは最大71%、Slimでは最大57%の改善を図っている。また、Microでは吸気口を追加したことで、筐体表面温度を最大9%低減している。さらに、購入初年度のディスパッチレートは1%以下であり、製品の品質をさらに高めている」と自信を見せた。
また、Dell Pro DesktopとDell Pro Max Desktop共通で使えるさまざまなポートの増設にも対応。新設計の70pinコネクタを利用し、HDMI 2.1やDisplayPort 2.1、Serial Port、5GbE LAN NIC、VGAなど、10種類のポートのなかから選択して増設が可能になる。「さまざまな種類のポートを。PCIeスロットを使わずにマザーボードからケーブルでダイレクトに拡張でき、お客さまの多様なニーズに対応できる」とした。
さらに、All-in-One Standを利用することで、ディスプレイの背面にDell Pro MicroやDell Pro Slimを配置して、ワークスペースを効率的に活用できる提案も行う。
加えて、マルチパックソリューションの利用によって、Dell Pro Microでは最大8台のPCを1箱に梱包できるため、サステナビリティの実現と、配送および開梱の容易性を実現できるという。「今年はWindows 10のEOSがあり、大規模な入れ替えが想定される。マルチパックソリューションを活用することで、効率的な配送と環境への影響を減らすことができる」と述べた。
ワークステーションのDell Pro Maxでは、「Dell Pro Max 16ノートPC」、「Dell Pro Max 14ノートPC」、「Dell Pro Max Tower T2デスクトップPC」、「Dell Pro Max SlimデスクトップPC」、「Dell Pro Max MicroデスクトップPC」を発売した。
デスクトップPCにおいては、SlimやTower T2で、インテルCore Ultra 9Kを選択できるほか、NVIDIA RTX 6000クラスのBlackwell世代をサポート。ノートPCでは、インテル Core Ultra H プロセッサー シリーズ2を搭載するほか、モジュラー型USB Type-Cポートも採用した。アスペクト比16:10のパネルに移行することにより、表示領域が10%以上拡大しているという。今年夏には、NVIDIAのグラフィックオプションに対応する予定だ。
なお同社では、3月31日から「Dell Technologies PC 製品診断」サイトを新たに提供。3~4つの質問に回答するだけで、約30秒で適切な製品を推奨するとしている。
法人向けモニターについても説明。デル・テクノロジーズ クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 ブランドマーケティングシニアアドバイザーの鈴木快林氏は、「デルの法人向けモニターは、12年連続で世界トップシェアとなっており、4Kを含むQHD以上の高解像度モニターでは10年連続で世界1位になっている。また、USB Type-C端子搭載モニターの出荷台数では、世界および日本で5年連続首位となっており、中でも日本では全体の約3割を占めている。幅広いラインアップをそろえているだけでなく、目にも優しい設計を採用。さらに、翌営業日先出し交換サービス保守や、プレミアムパネル保証など、サービスが充実している点が評価されている」と述べた。
注目製品のひとつとして挙げたのが、「ほぼフラット曲面」を実現した「P3425WE」である。「フラットに近いパネルにより、画面の湾曲が少なく、形状の歪みも少ない。色域はsRGBとし、コストダウンしている。オフィス業務や、CADおよび製図など、画像の鮮やかさではなく、表示物の形状を正しく見たいお客さま、コストパフォーマンスが高い曲面モニターを導入したいお客さまに評価されている。販売数量は、この半年で約8倍に増加している」という。
さらに、Dell Display and Peripheral Managerにより、最大16台までのモニターと周辺機器を一元管理し、これをPCから一元操作できるようにしている点にも言及。デル製モニターであれば無料で利用できるようにしていることも示した。
デル・テクノロジーズが、日本における新たなサービスとして発表したのが「Microsoft 365 Copilot アドバイザリーサービス」と「ワークフォースペルソナアセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot」である。
「Microsoft 365 Copilot アドバイザリーサービス」は、Microsoft 365 Copilot の機能に関する認知度向上から、ペルソナ識別によるベストプラクティスの提供、導入計画のアドバイスまでを簡易的に実施するアドバイザリーサービスで、最新のCopilot+ PCを含むAI PCなどのデバイスの選定とあわせて、Microsoft 365 Copilotのメリットを最大限に引き出すことができるという。期間は約1カ月であり、価格は150万円から。
デル・テクノロジーズ サービスビジネス営業統括本部サービスプリセールス本部本部長の清水聡泰氏は、「Microsoft 365 Copilotの導入によってもたらされるメリットについて具体的なイメージがわかないというお客さまに対して提供するサービスとなる。お客さまの現状を把握し、最適な導入計画の提案と、スムーズな導入をサポートする」と述べた。
「ワークフォースペルソナアセスメントサービス for Microsoft 365 & Copilot」は、ユーザーグループごとに求められるユースケースや優先項目、想定される導入効果を整理し、推奨するPCデバイスやライセンス、AI活用方法を明確化することができるという。Copilotを利用するための優先順位や必要なアクション、もたらされる費用対効果を可視化し、Copilotへの投資や活用に向けた計画を促進することができる。「現場へのヒアリングをもとに、各部門や役職に応じた最適なCopilotの活用方法を提案し、ゴールデンプロンプトを含む利用方法のベストプラクティスなどを提供する」という。期間は約2カ月で、価格は500万円から。
また、「デル・テクノロジーズでは、AI戦略の立案から、データマネジメント、プラットフォームのデザイン、導入および運用までを、一気通貫で支援ができる体制を敷いている。デルは、世界で最も優れたマネジメントファームに選定されている。コンサルティングサービスの強みが発揮されている」などと述べた。
一方、デル・テクノロジーズの佐々木部長は、同社の国内法人PCビジネスの現状についても説明。「2024年は、前年比で0.5ポイントのシェア減少となったが、出荷台数では前年実績を上回り、ブランド別シェアでは第2位を維持した。2024年5月に、クアルコムのSnapdragonを搭載したAI PCをいち早く投入し、2024年7~9月には、NPUを搭載したインテルCore Ultraプロセッサー製品うち、52%がデル・テクノロジーズのPCであり、2024年通期では、当社が出荷したノートPCの約4割がNPU搭載Core Ultraプロセッサーだった」と振り返った。
また、2025年10月に迎えるWindows 10のEOSについては、「入れ替え需要がいよいよ本格化している。エンタープライズのお客さまは計画的に進めており、すでに7~8割は移行している。だが、中堅中小企業はまだ半分に達していない状況であり、これからである。4月以降、入れ替えが本格化すると見ている。予算の観点から安価なPCに入れ替えるといった動きもあるが、デルではAI PCへの移行提案を進めている」と述べた。