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TOPPANエッジ、Sinumy、三菱HCキャピタルの3社、ハンズフリーで高精度な多要素認証システムの実証実験を開始
顔認証と独自のBluetooth技術を組み合わせた認証システムを構築
2025年4月1日 06:30
TOPPANエッジ株式会社、Sinumy株式会社、三菱HCキャピタル株式会社の3社は3月31日、同日より4月18日まで、新丸の内ビルディング内の三菱HCキャピタルオフィスにおいて、顔認証と独自のBluetooth技術を組み合わせた多要素認証システムの実証実験を実施すると発表した。

近年、オフィス等の入退場の利便性向上や入館カードの発行業務の効率化を目的に、入退室管理への顔認証システムの導入が進んでいるものの、現在の顔認証技術では、生成AIによるディープフェイクや、なりすまし・誤認証などのリスクを完全に防ぐことは難しく、入館カードを完全に廃止する運用の普及には課題が残っているため、セキュリティの確保が必要なシーンでは、複数の要素を組み合わせた高精度な多要素認証への需要が高まっているという。
しかし、現状の多要素認証で主流となっている、顔認証とICカードやスマートフォンなどの認証媒体を組み合わせた認証方式では、扉やゲートなどに取り付けた認証端末に認証媒体を近づける操作に一定の時間がかかってしまうため、入退出の際に人の滞留が発生する懸念を払拭できていないとのこと。
そこで今回の実証実験では、TOPPANエッジのオフィス向け顔写真収集・認証プラットフォーム「CloakOne」の顔認証機能と、Sinumyが提供するスマートフォンのBluetoothを活用した非接触認証技術「Sinumy Technology」を組み合わせた多要素認証システムを採用。施錠管理されている三菱HCキャピタルのオフィスドアに認証機器を設置し、顔認証とBluetoothによる認証技術を組み合わせた入退室管理を実施する。3社ではこれにより、ハンズフリーで利便性が高く、かつ誤認証のリスクが低減した“スマート認証”の確立を目指し、サービス提供開始に向けた課題を検証するとした。
この実証実験で採用されている「CloakOne」は、生体検知機能によるなりすまし認証防止や、顔認証とICカードもしくはQRコードなどを組み合わせた多要素認証を可能にしており、高セキュリティな認証を実現してきた実績を持つとのこと。一方「Sinumy Technology」では、従来のBluetoothと比較して10倍以上の位置精度を実現しているので、スマートフォンを認証機器に近づける必要がなく、従来の顔認証+ICカードによる多要素認証では約2.5秒かかっていたのに対し、顔認証のみの認証と同等の速度である、1秒未満での認証を行えるとした。
また「CloakOne」では、自社開発の時間差認証方式によりセキュリティも確保されているほか、スリープ状態のスマートフォンでの認証にも対応可能で、安全性と利便性を両立している点も特徴と説明している。
なお三菱HCキャピタルは、「CloakOne」のサブスクリプションモデルの提供で2023年11月からTOPPANエッジと協業しており、今回は同社の強みであるネットワーク力を活用して、TOPPANエッジとSinumyとの連携を実現した。実証実験においては、実証内容のコーディネート、実証場所の提供を担当する。
3社では、この実証実験において、2025年度中の商用サービス提供開始に向け、技術検証と課題抽出を図る考えだ。さらに将来的には、来場受付や決済など、オフィス以外の用途へのサービス拡充を視野に開発を進めるとしている。