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NRI、レガシーシステムのモダナイゼーションに向けAIを活用した「現行可視化・影響分析サービス」を提供

 株式会社野村総合研究所(以下、NRI)は11日、AIを活用した「現行可視化・影響分析サービス」を提供開始した。

 現行可視化・影響分析サービスは、「2025年の崖」問題に伴い、レガシーシステムのモダナイゼーションにおいて企業が直面する課題の解決を支援する。具体的には、NRI独自のノウハウとAIを用いて、現行システムの全体構造を把握し、システム変更がもたらす影響の調査と分析をする。これにより、効率的かつ効果的なモダナイゼーションの計画を支援し、企業の持続可能なシステム変革を目指す。

モダナイゼーションの全体像と現行可視化・影響分析サービスの対応範囲

 NRIでは、モダナイゼーションを成功させるためには、「現行可視化」が不可欠だと説明。これは、現存するシステムの全体像を明確にし、その機能やデータフローを具体的に把握するプロセスとなる。しかし、多くの企業では、現行システムに技術的負債が蓄積し、複雑かつ不透明な部分が残っている上、システムの設計書においても、不完全なドキュメント、手書きやExcel、Wordなど多様なファイル形式の混在が影響しており、可視化の難易度が上がっていると説明。その結果、新システム設計の際に重要な機能が欠落したり、システム間の依存関係を把握できなかったりすることにより、不具合が生じており、これにより、対応コストの増加やスケジュール遅延などのリスクが高まっているという。

 「現行可視化」では、既存の設計書やコード、マニュアルなどから必要な情報を抽出し、新たなシステムでも活用可能な資料に再構築する「リドキュメント」が鍵になるとして、NRIではAIを活用した「リドキュメント」を提案し、システムの現状把握を支援する。これにより、システム全体のデータフローを迅速かつ正確に把握し、モダナイゼーション計画の土台を提供する。

 AIを活用することで、複雑なエンタープライズシステムのデータフローを効率的に把握し、計画の品質を向上させる。また、多様なファイル形式の既存ドキュメントをAIで整理し、構造化する。手動での作成よりも高品質なリドキュメントを作成できる。

 さらに、作成した資料を基に、最新の効率的なプラットフォームへの移行を支援します。これにより、企業は効果的な移行戦略を策定し、運用の最適化を図れる。NRIでは、リドキュメントを活用した成果物を既に多くの企業に展開しており、システムの現状把握とモダナイゼーション計画を迅速に進める支援を行っている。

 システムの変更が与える影響を解析し、変更箇所やシステム間の結合度合いを評価するプロセスの影響分析では、NRIが提供する「影響分析ツール」により、システム資産同士の関連性を可視化し、変更の影響範囲やシステム間の結合度を即座に示せる。これにより、企業は影響範囲を迅速に特定し、正確な工数の見積もりや、システムの変更に伴う不具合や障害発生のリスクの最小化が可能となる。

 NRIでは、社内のシステム開発において、現行システムの調査工数削減や障害解析、モダナイゼーションにおいて影響分析ツールの活用を開始している。

現行可視化・影響分析サービスのアウトプットイメージ

 NRIは、現行可視化・影響分析サービスをはじめ、AIを活用した「AI再構築」や「AIテスト・移行」など、モダナイゼーション支援を拡充中と説明。AIを用いた開発支援や、画面の自動テストを実現するサービスを2025年度上半期に提供予定で、これらのサービスを通じて、企業の成長と競争力強化を目指すとしている。