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国内プライベートクラウド市場、2023年の市場規模は前年比27.3%増の2兆533億円~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は7日、国内プライベートクラウド市場予測を発表した。2023年の国内プライベートクラウド市場は前年比27.3%増の2兆533億円(支出額ベース)、同市場の2023年~2028年の年間平均成長率は15.4%で推移し、2028年の市場規模は2023年比約2倍の4兆2126億円に達すると予測している。

 2023年の国内プライベートクラウド市場は、従来型ITで構築された既存システムのクラウド環境への移行(クラウドマイグレーション)が拡大。また、プライベートクラウド環境の更新需要も顕在化しており、成長を下支えしたと分析している。

 2024年以降の国内プライベートクラウド市場は、クラウドマイグレーションとDX/データ駆動型ビジネスとしての導入/利用が両輪となり、高い成長を継続すると予測。また、製品/サービスの単価の上昇傾向が継続しており、同市場の成長を底上げするとしている。

 国内市場では、過去資産(ソフトウェア、ITスキル)の継承性、運用管理性、専用環境といった特徴が評価され、プライベートクラウドの導入が進んできたと指摘。一方、パブリッククラウドは、拡張性や先駆的な機能性に高い関心が集まっており、プライベートクラウドにおいても、過去資産の継承性ではなく、最新のテクノロジーを任意の場所で稼働させる環境(配備モデル)の一つとしての認識が高まっているという。

 特に、生成AIの発展がその意識を高めており、今後、生成AIは機密情報を扱うようになり、低遅延に対する要望からも、プライベートクラウドでの稼働が増加する見込みだと分析する。このことは、概念が先行してきたソブリンクラウドにも大きな影響を与えるとして、ソブリンクラウドはデジタル主権への対応だけではなく、新しいテクノロジーへの活用が重要になると共に、ハイブリッドクラウドとして発展していくとしている。

 なお、生成AI(特に推論)の稼働環境として、エッジコンピューティングの発展も著しく、ワークロードや用途によってプライベートクラウドやエッジコンピューティングが利用されるようになると予測している。

 プライベートクラウドは、IT環境の効率化を目的として導入が進められてきた一方、サイロ型の導入にとどまることが多く、クラウドネイティブやAIといった先駆的なテクノロジーの導入もパブリッククラウドと比較すると遅れが見られると指摘。一方、企業はデジタルビジネスに注力し始めており、プライベートクラウドは先駆的なテクノロジーをサポートする環境へと、大きく変化を始めていると分析している。

 IDC Japan株式会社 Software & Servicesのリサーチディレクターである松本聡氏は、「ベンダーは、Generative AI(生成AI)といった先駆的なテクノロジーに対応すると共に、デジタル主権を実現するソブリンクラウドを整備して、プライベートクラウドの新しい価値を提示する必要がある」と述べている。

国内プライベートクラウド市場予測、2023年~2028年(出典:IDC Japan)