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日立、基幹システムの本番データを安全に活用したアプリケーション開発を効率化する「HiRDB Connector for Delphix」

本番データを活用したアプリケーション開発への適用例

 株式会社日立製作所(以下、日立)は1日、ノンストップデータベース「HiRDB」と、米Delphixのテストデータ管理プラットフォーム「Delphix」の連携により、基幹システムの本番データを安全に活用したアプリケーション開発の効率化支援を開始すると発表した。

 品質の高いアプリケーションを短期間でリリースするためには、本番データと同等のテストデータを活用することが不可欠となる。一方で、基幹システムの本番データをアプリケーション開発に利用するためには、機密性に配慮したデータの加工(マスキングなど)も必要となり、この加工には多くの工数がかかる。また、開発生産性を高めるためには、それぞれの開発者が自由に使える開発用データベース環境を用意することが理想だが、コストの面から準備が難しいなどの課題があった。

本番データを活用したアプリケーション開発への適用例

 日立では、こうした課題を解決するため、HiRDBとDelphixを連携させる「HiRDB Connector for Delphix」を販売開始する。HiRDBに格納されている本番データから安全にテストデータを生成できるほか、開発者自身で自由にテストデータの複製が可能となるため、アプリケーション開発プロセスを迅速化する。

 HiRDB Connector for DelphixをDelphixの環境にインストールすることで、HiRDBの本番データをもとにしたマスキング済みテストデータの利用や複製が可能となる。これにより、システム管理者の手を煩わせることなく、開発者自身が好きなタイミングで、テスト用データベースの起動・停止・初期化・巻き戻しなどが可能となる。また、Delphixに保存したデータソースを仮想コピー(差分管理)で更新可能であるため、複製にかかる時間を短縮でき、開発者の待ち時間を削減できる。

 Delphixのデータ複製は、仮想コピー(差分管理)であるため、開発者ごとに個別のテスト用データベースを作成しても、ストレージ容量に影響を与えない。これにより、開発環境に必要なストレージ容量を削減し、開発環境のコストを低減できる。

 開発環境はフェーズによって負荷が変化するため、仮想マシンを利用することが一般的となる。HiRDBでは、開発者が複数のテスト用データベースを準備する場合でも、仮想マシンが使用するCPUのコア数のみをライセンス対象とするため、テスト用データベースを複数作成しても、仮想マシン上のライセンスコストを抑制できる。また、開発環境用の仮想マシンは、オンプレミスでもパブリッククラウドでも柔軟に配置できる。

HiRDBとDelphixの構成例

 HiRDB Connector for Delphixの価格は個別見積もり。日立は今後、専門のエンジニアにより、アプリケーション開発時のテストに十分な品質のデータとなるように、個人情報の特定を避けるデータマスキングのサービスを、金融業界向けから順次提供していく予定。また、日立は、各種データベースを活用したシステム開発や移行などのノウハウを生かし、システムのアジリティと信頼性を両立するモダナイゼーションの支援を通じて、企業の競争力強化に貢献していくとしている。