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IIJ、NordicのIoT向け通信モジュール「nRF9160」をSoftSIM対応ラインアップに追加

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は26日、無線通信のソリューション事業者であるノルウェーのNordic Semiconductor(以下、Nordic)との協業により、Nordicの通信モジュール「nRF9160」が、IIJのSoftSIMに対応したと発表した。

 nRF9160は、IoT製品が無線通信を行うために必要な機能を一つのパッケージに集積した通信モジュール(部品)。小型、低消費電力、グローバルで認証された周波数帯に対応しているなどの特徴があり、通信モジュール内部にアプリケーションプロセッサやメモリが搭載されているため、追加で制御用の部品を基板に搭載する必要がない。nRF9160を採用することで、自社製品の小型化・軽量化や製造コストの低減に加え、SoftSIMの特性を生かし、製造工程に合わせて通信プロファイルを設定できるので、生産の効率化が図れる。

 SoftSIMは、通信モジュールの特定領域に通信プロファイルを格納することで、物理SIMと同じようにモバイル通信を可能にする。SIMカードとSIMソケットが不要になることで、通信基板上でそれらの部品を搭載する物理的なスペースが不要になり、故障率が低減するとともに、温度耐性や耐振動性、耐衝撃性を高め、物理的な破損や外的要因による通信障害等の低減が可能になる。また、開口部が不要になるため、外装の防水設計が容易になるだけでなく、通信機器の小型化、さらにはSIMカードの盗難抑止にもつながる。

 IIJは、2019年からSoftSIMソリューションを提供しており、SoftSIM対応ラインアップとして、今回新たにNordic製nRF9160にもサポートを拡大することで、IoTデバイスの開発・製造事業者に新たな選択肢を提供すると説明。IoTデバイス分野で市場競争力が高い通信モジュールnRF9160がSoftSIMに対応したことで、通信機能を搭載する電子機器やスマート家電などのIoTデバイスを開発・製造する国内外の事業者は、自社IoT製品の小型化・軽量化が実現できるとともに、SIMカードやチップSIM搭載の作業が不要になることで、部品管理(BOM)の運用負担や製造コストの低減が図れるとしている。

 IIJは、日本だけでなく海外でも利用可能な通信プロファイルを提供している。通信プロファイルは、OTA(Over the Air: 無線通信による情報の更新)により書き換えが可能で、例えば、IoT製品をA国で製造し、複数の国に出荷後、出荷先のB国、C国で、それぞれの通信プロファイルをダウンロードし、利用できる。

 顧客には、通信モジュールの利用状況に応じて2つのタイプのSoftSIMを提供する。一つはnRF9160をモデム機能として利用する場合、もう一つはモデム機能に加え、モジュール内に顧客が自社製品の仕様に合わせたプログラムやアプリケーションを組み込んで利用する場合にも提供が可能。

 既にnRF9160を搭載したIoT製品を製造している顧客は、ハードウェアの仕様を変更せずに、nRF9160に書き込む制御プログラムの修正のみのマイナーチェンジでSoftSIMに切り替えられる。また、SoftSIMを前提にハードウェアの設計自体を変更するフルモデルチェンジにあたっても、PoCをサポートするなど、IIJの持つ知見を生かし、顧客のSoftSIM対応の推進を支援するとしている。