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NICT、TOPPANデジタルなど5者、複数企業間を結ぶ量子暗号ネットワークテストベッドの運用試験を開始

 国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)、野村ホールディングス株式会社、TOPPANデジタル株式会社、株式会社大和証券グループ本社、株式会社みずほフィナンシャルグループの5者は18日、新たに整備した企業間量子暗号ネットワークテストベッドを用いて、データの送受信やバックアップ保管など安全に共有・利活用する運用試験を開始すると発表した。

 東京QKD(Quantum Key Distribution)ネットワークは、NICTが2010年から東京圏に構築・運用を続けている、量子鍵配送(QKD)ネットワークのテストベッド。NEC、東芝、NTT-NICT、学習院大学などのさまざまな産学機関で開発されたQKD装置が導入され、装置改良の研究開発、長期運用試験、相互接続やネットワーク運用試験など、QKDネットワーク技術の実用化に向けた研究開発のほか、QKDネットワークを現代セキュリティ技術と融合した、新しいセキュリティアプリケーションの研究開発などを進めている。

 今回、さまざまな社会課題の解決に向け、複数の企業拠点を結んで、東京QKDネットワークを拡張するとともに、量子インスパイアードコンピューターと呼ばれる計算エンジンも組み込み、安全に試験利用できる環境を、企業間量子暗号ネットワークテストベッドとして整備した。これらの試験環境を複数の企業で連携し、活用していくための運用試験を開始する。

 運用試験を通じて、多くの企業が量子暗号ネットワークを共通基盤として利活用する際の課題を抽出し、民生分野(金融・医療など)における量子暗号技術の効果的な活用法・運用法に関する知見を蓄積するとともに、テストベッドをより使いやすくなるよう改良しながら、利用者の拡大を目指す。将来的には、極めてセキュリティレベルの高いデータセンターネットワーク技術に発展させ、個別企業でのセキュリティ対策コスト削減に貢献し、長期秘匿化を必要とするデータを安全に利活用することを目指すとしている。

テストベッドのネットワーク監視画面