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NTTデータ、引っ越しに伴う行政・民間手続きをオンラインで一括して行えるサービスを提供

 株式会社NTTデータは26日、11月1日から引っ越しに伴う行政手続きや、電気・ガスなどの民間事業者の手続きをまとめてオンラインで実施できるサービスを開始すると発表した。

 サービスのファーストユーザーとして、11月1日から引っ越しのポータルサイトを提供する株式会社ウェブクルー(Smyb)と、石川県のエリアを中心とした事業者4社が利用を開始する。サービスにより、行政・民間にまたがる煩雑な引っ越し手続きを一括で行えることで、利用者の手続き負担の削減、事業者の業務効率化や自治体における住民サービスの向上に寄与するとしている。

サービスの全体像

 サービスは、NTTデータが提供するパーソナルデータ流通基盤「BizMINT」を活用して実現するもの。マイナポータルによる「電子申請等API」と連携し、全ての市区町村に対し、オンラインによる転出届の提出と、転入における来庁予定の連絡への対応は、民間サービスとしては国内初になるという。

 引っ越しをする際は、複数の自治体や民間事業者への届け出が必要となり、多くの手間や時間がかかる。また、人により必要な手続きが異なるため、手続き漏れにより必要なサービスが受けられないなどの課題もある。そうした中で、デジタル庁によりマイナポータル上での「引越し手続オンラインサービス」が2023年2月に開始され、自治体への転出届/転入・転居予定連絡のオンライン申請が実現された。

 NTTデータは、利用者の利便性をさらに向上させるため、官民がデータ連携を行うことで、電気やガスといった民間事業者への引っ越し手続きをオンライン上で可能とするため、2020年度~2021年度にかけて実証実験を加賀市、町田市などとともに行ってきた。これまでの実証結果をふまえ、パーソナルデータ流通基盤「BizMINT」を活用し、自治体・事業者の引っ越しに関わる手続きを一括で行えるサービスを11月から提供する。

 引っ越しポータルサイトなど、引っ越し手続きに関するアプリ/ポータルを提供している事業者(以下、ポータル事業者)に向けたサービスと、利用者の新規申し込みや住所変更などの申請情報を受け取る事業者(以下、受け手事業者)に向けたサービスを提供する。

 2023年11月のサービス開始時点での接続先自治体・事業者は、自治体が全国の自治体、加賀市上下水道部、ポータル事業者が株式会社ウェブクルー。受け手事業者が、加賀ケーブル株式会社(ケーブルテレビ)、西日本電信電話株式会社(インターネット)、株式会社北國新聞社(新聞)、株式会社マルヰ(電気)。

 ポータル事業者向けサービスは、サービスを介してマイナポータルと連携することで、利用者が引っ越しポータルサイト上で自治体への申請(転出届/転入・転居予定の連絡)や、BizMINTと連携している受け手事業者(電気・ガスなど)の民間手続きが可能となる。

 受け手事業者向けサービスでは、申請データの連携にあたって、必ず利用者本人から同意を取得している。また、本人確認サービス「BizPICO」を用いて、公的個人認証サービスを活用した厳格な本人確認を行っているため、受け手事業者は、真正性の高い情報を受け取れる。

 サービスは、全国の自治体への申請に対応。デジタル庁が提供するマイナポータルAPIのうちのひとつである「電子申請等API」と、BizMINTが連携することで、全国1741の市区町村に対し、オンラインによる転出届の提出と、転入における来庁予定の連絡を行える。転出手続きはオンラインで完結するため、転出元の自治体への来庁が原則不要となる。また、転入・転居予定の連絡をしておくことで、転入・転居先の自治体へ来庁した際に、スムーズに手続きを行える。

 サービスでは、なりすまし防止などの観点から、公的個人認証サービスを活用し、マイナンバーカードを用いた本人確認を行う。マイナンバーカードに記録された署名用電子証明書の有効性を確認しており、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則6条1項1号ワ」方式にも対応する。

 申請データを自治体や受け手事業者へ連携する際は、BizMINTの「同意管理機能」や「流通制御機能」を用いて、本人から同意を取得するとともに、その同意情報や申請データが連携された履歴を適切に管理する。これにより、利用者が安心してサービスを利用できる。

 マルチポータルサイト方式により、事業者の接続負担を軽減。BizMINTが複数のポータル事業者と連携し、プラットフォームの役割を担うことで、受け手事業者はBizMINTと連携するのみで複数の引っ越しポータルサイトなどから情報を受け取れる。2023年11月サービス開始時点では、ウェブクルーが提供するポータルサイト「Smyb」と連携を予定する。

 NTTデータは、石川県加賀市全面協力の元、石川県のエリアを中心とした事業者との連携を先行して開始し、今後、順次全国の事業者との連携を拡大していく。また、対象となる手続きの業界や連携する事業者の拡大を図ることで、利用者のさらなる利便性の向上およびサービス付加価値の提供を進めるとしている。