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茨城県笠間市と日立・日立システムズ、デジタルを活用した持続するまちづくりの実現に向け連携

第一弾事業として、車両を用いた移動型の行政窓口「動く市役所」を開始

 茨城県笠間市(以下、笠間市)と株式会社日立製作所(以下、日立)、株式会社日立システムズ(以下、日立システムズ)は4日、笠間市における人口減少と少子化・高齢化を背景とするさまざまな地域課題の解決に向けた取り組みとして、相互に協力し、推進するための連携協定を8月に締結したと発表した。協定は、デジタルの力を最大限に活用した効果的なサービスの研究および実施を通じ、市民サービスの質向上などによる地域課題の解決を図り、持続するまちづくりの実現に資することを目的としている。

 協定の第一弾事業として、「動く市役所」を10月に笠間市でサービス開始する。「動く市役所」は、オンラインで笠間市職員とビデオ通話をしながら、対面さながらの各種申請手続きや相談ができる窓口サービスを備えた車両が、公共施設や商業施設、福祉施設など市内各所へ出向くもの。市役所窓口への来訪が難しい高齢者や子育て世代など、市民の利便性を向上するとともに、オンラインのみでは不安を感じる申請や相談などに対して、対面の再現による安心感の供与を図る。

 「動く市役所」は、市役所から遠隔にある地域、移動困難者をはじめとする市民の行政サービスの向上を図るもので、2022年10月の笠間市での運用実証を経て、本番サービスを開始する。具体的には、オンラインでの申請手続き・相談などを可能にする日立のサービス「汎用デジタル窓口」を搭載した車両に、市役所職員が搭乗し、市内各所へ出向く移動型窓口サービスとして、リモートで市役所の窓口に近いサービスを提供する。市民は車両内の大型ディスプレイで、ビデオ通話で市役所職員と会話しながら、マイナンバーカードなどの各種申請手続きや相談を進められ、必要な書類についても車両と市役所の双方に設置された書画カメラを用いて、リアルタイムで共有して記入できる。

 連携協定において、笠間市は市の課題や取り組みを含む各種情報や活動の場などの提案と提供、日立および日立システムズは、各種の活動を通じた知見やノウハウ、デジタル活用によるサービスの提案と提供を基本的な役割とする

 具体的には、1)オンライン行政サービスの研究および内容の向上、2)デジタル技術を活用した新たな市民サービスの研究および実現、3)地域DXの実現に向けた研究および人材育成、4)デジタルデバイド(情報格差)の解消に資するサービスの研究および実施、5)その他、笠間市創生の推進に関することで三者が必要と認める事項――について連携する。

 笠間市、日立および日立システムズは、連携協定に基づき有効な市民サービスの研究や実施を進め、デジタルを活用した持続するまちづくりの実現に向け取り組んでいく。「動く市役所」は、行政手続き・申請での利用に加え、今後は保健医療サービスへの活用や、民間サービスと連携したサービス提供範囲の拡大を推進するなど、さらなる市民の利便性向上と地域経済の維持、向上に向け活用方法を検討していく。

 笠間市は、社会的な潮流や変化への対応として、「持続可能性の向上」「変化への対応強化」「DXの加速化」の3つの視点を中心に、今後も市民サービスの維持および向上を図るため、デジタル活用や民間企業などとの連携を通じて各種施策の策定・実施を推進していく。

 日立グループは、今回の協定事業を通じて蓄積される、笠間市でのデジタル活用やサービス開発の知見・ノウハウを生かし、今後も、同様の課題を持つ自治体のDX推進やスマートシティの実現を支援していくと説明。また、デジタルイノベーションを加速する日立のLumadaソリューションなどを用いて、誰一人取り残されないデジタル社会をめざした自治体向けソリューションを提供していくとしている。