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日立ソリューションズ、サプライチェーンの脱炭素を支援するソリューションを発表

 株式会社日立ソリューションズは30日、製造業の脱炭素をトータルに支援する「サプライチェーン脱炭素支援ソリューション」を発表した。8月31日より提供開始する。

 日立ソリューションズでは、2022年6月より自社内でサステナビリティトランスフォーメーション(SX)プロジェクトに取り組んでおり、持続可能な社会に向けた事業経営を推進している。今回発表したソリューションは、「日立グループで培ったソリューションや欧州の先進的な取り組みを組み合わせ、サプライチェーン全体を通じて顧客の脱炭素を支援するものだ」と、日立ソリューションズ 執行役員 産業イノベーション事業部管掌の大池徹氏は述べている。

日立ソリューションズ 執行役員 産業イノベーション事業部管掌 大池徹氏

 サプライチェーン脱炭素支援ソリューションは、サプライチェーン全体で排出されるCO2に対応する。ソリューションを構成する製品とサービスは、さまざまな環境情報を多拠点から収集して環境情報データベースで一元管理する「EcoAssist-Enterprise-Light」、AIを活用したライフサイクルアセスメント(LCA)脱炭素プラットフォームの「Makersite」、サプライヤー企業のサステナビリティ評価と管理ができる「EcoVadis」、将来のCO2排出量をシミュレーションする「グローバルSCMシミュレーションサービス」、製品あたりのCO2排出量の計算を支援しコンサルテーションを行う「カーボンフットプリント算定支援」、企業としての持続的な脱炭素の取り組みに向けワークショップを提供する「SX/DX未来創造型ワークショップ」だ。

サプライチェーン脱炭素支援ソリューション

 このうち、MakersiteとEcoVadisは、脱炭素への取り組みが進んでいる欧州の企業によるものだ。MakersiteはドイツのMakersite GmbHが、EcoVadisはフランスのEcoVadis SASが提供しており、今回新たにサプライチェーン脱炭素支援ソリューションの中に組み込まれることになった。Makersiteが日本国内で提供されるのはこれが初となる。

 Makersiteは、製品あたりの環境への影響を評価するプラットフォーム。企業がすでに保有するBOM(部品構成表)情報から、製造業者の原料やプロセス、サプライヤーに関する情報を取り込み、AIが不足情報を補った上で画面上に展開する。LCAおよびスコープ3の温室効果ガスプロトコルの国際基準に準拠し、排出量を計算。サプライヤーや原料の変更による排出量のシミュレーションや、販売目標や供給量に基づいたCO2の予測も可能だ。

 「Makersiteにより、AIを用いて製品構成の分析や環境への影響が容易に把握できるようになる。従来のLCA製品は手作業でデータをマッチングして情報を管理していたが、Makersiteは情報を取り込んで自動的にデータベースとマッチングする。欧州の事例では、作業が9割削減されたという報告もある」と、日立ソリューションズ 産業イノベーション事業部 サプライチェーン本部 第3部 部長の小沢康弘氏は語る。

Makersiteについて
日立ソリューションズ 産業イノベーション事業部 サプライチェーン本部 第3部 部長 小沢康弘氏

 いっぽうのEcoVadisは、脱炭素だけでなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも企業を評価、サプライヤーと共に改善に向けたPDCAサイクルを実行する。PDCAでは、サプライヤーが質問票などに回答して自社情報を登録し、その情報を元にEcoVadisの専門家が分析、スコアカードと改善事項を提供する。バイヤーはサプライヤーと連携し、改善を進める。

 小沢氏は、「バイヤー企業は上場企業のことが多く、ESG面で機関投資家から評価されることが多いが、サプライヤーが非上場企業の場合、情報開示が進んでいないことがある。しかし、グローバルなサプライチェーンにおいてはバイヤー企業にサプライヤーの管理責任があり、この点をEcoVadisが支援する」と述べている。

EcoVadisについて

 日立ソリューションズでは、今後も社会の変化に応じた脱炭素サービスメニューを拡充し、2027年度には売上16億円を目指すとしている。

今後の計画