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第一生命、本社会計業務のスマート化に向けてSAP S/4HANAベースに会計システム基盤を刷新

 第一生命保険株式会社(以下、第一生命)は7日、第一生命情報システム株式会社、およびアビームコンサルティング株式会社(以下、アビーム)の支援のもと、本社会計業務のスマート化に向け、基盤変革を実現したと発表した。なお会計業務プラットフォームには、SAPジャパンのSAP S/4HANAを採用している。

 従来の第一生命の会計システムは、約30年の長期に渡ってメインフレームに構築してきた自社システムに加え、2006年2月に導入したオンプレミスのSAP ERPが併設されており、本社会計業務が、メインフレームで実施する事務と、SAP ERPで実施する事務に分断されてしまうなど、複雑かつ非効率なシステム構成になっていたという。

 また業務プロセスにおいても、紙ベースでの業務が中心だったことから、従業員の出社や印鑑による決裁証跡の必要性が生じるなど、多様な働き方に柔軟に対応できないことも課題だったとのこと。

 そこで同社は、2021年4月にプロジェクト「会計業務のデジタル化によるスマートな働き方への変革」を立ち上げ、本社会計業務のあるべき将来像の策定と、それに基づくシステム基盤刷新、および業務運営体制の集約を行った。

 具体的には、会計システムを、リアルタイム性と証憑類の保存に優れているSAP S/4HANAをベースとしたクラウドシステムに統合し、会計プロセスの簡素化・集約化を実施した。これにより、ペーパーレス化を通じた業務効率化やテレワーク推進など、会計業務におけるDXの加速を実現している。なお、SAP ERPからSAP S/4HANAのシステム移行は、国内保険業界では初の取り組みとなり、新システムは2023年5月に稼働を開始した。

 なお第一生命情報システムは、この取り組みにおいて、第一生命の会計システムの保守運用を通じて培った知見を活用し、メインフレームシステムとSAP S/4HANAとの連携機能の開発やサーバーの移行の部分を担当。基本構想計画から導入までを支援したほか、稼働後の保守・運用も担当している。

 一方のアビームは、多数の会計業務改革を通じて培った知見を活用し、第一生命が目指す会計業務デジタル化の実現に向けた業務・システムの将来像を描くところから支援したとのこと。また変革の実現に際しても、現行システムの調査および変革ポイントを明確にした上で、プロジェクト全体計画を策定し、会計業務プロセスおよびシステムの要件定義、設計・導入まで総合的に支援した。

 第一生命は今後、今回のあるべき将来像の策定と基盤変革にて構築した新たな会計業務システムをベースに、最新デジタルテクノロジーを活用した会計業務のさらなる効率化や、会計データ活用による経営の意思決定の高度化などを推進する考え。また、本社会計のみならず、全国に展開している支社92拠点、営業オフィス1153拠点の支社会計業務のDX化への展開も見据えている。