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NEC、曖昧な外観属性情報から映像内の人物を高速・高精度に検索する技術を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は19日、カメラ映像を分析し、人物の性別、服・帽子・靴の色や形状など、曖昧な外観属性情報から特定の人物を高速・高精度に検索できる、映像分析向けの「あいまい検索技術」を開発したと発表した。この技術を活用することで、施設内における迅速な迷子捜索などが可能になるとしている。

 今回、NECが開発した技術は、カメラに映っている人物の視覚的な特徴から、性別、上下それぞれの服や帽子、靴の色・形状、かばんなどの持ち物の情報といった100以上の属性情報を、AIによる推定の確信度とともに付与できる。そして、特定人物の検索の際には、それぞれの検索条件について、記憶とAIによる推定、双方の曖昧さを考慮し、総合的に合致するかを判定して検索結果を出力する「あいまい検索技術」の活用により、対象人物を効率的に発見する。

 例えば、服装の色について記憶が誤っている場合や、光の加減によりAIによる推定が事実と異なる場合など、検索条件の一部に該当しないものがあっても、候補から排除することなく対象人物を見つけられる。さらに、同技術は顔画像を使用しなくても外観属性の推定が可能で、これにより、カメラ映像から人物を高速・高精度に検索できるだけでなく、プライバシーに配慮した運用も可能で、商業施設における映像分析技術の導入に貢献する。

 NECが実施した実証では、人の往来が激しい14カ所のエリアを撮影し、1000人以上が映る1時間程度のカメラ映像から、技術を用いて平均2分で対象人物を発見できることを確認した。

 NECでは、開発した技術を、提供中の「NEC 映像分析基盤」で2023年度中に実用化予定。また、今後は、技術を迷子捜索に加え、来場客の属性情報を分析するマーケティング領域などへの適用を進めて行くと共に、アパレルなどのECサイトにおける検索体験の向上など、映像分析以外の領域にも応用することを検討していくとしている。

検索システム画面
従来技術との違い