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NECソリューションイノベータと日本大学文理学部次世代社会研究センター、メンタリングの一部をAIで代替する実証実験を開始

 NECソリューションイノベータ株式会社と、日本大学文理学部次世代社会研究センター(以下、RINGS)は17日、日本大学文理学部の学生を対象とした1on1ミーティングでのメンタリングにおいて、教員や学生が担うメンターの一部について、AIを用いたシステムで代替する実証実験を開始すると発表した。

 近年の教育においては、「本当にやりたいことを見つけ、それに向かって計画を立てる」ことを目的とした探究教育が重要視されており、その探究教育には、教員が学生一人ひとりと時間をかけて向き合い、その学生にあった教育を行っていくためのメンタリングが必要となる。

 しかし、メンタリングに必要となる時間は膨大で教員の負荷が高く、学生も都合の良い時に相談しづらく、適切なタイミングで1on1ミーティングでのメンタリングが実施しにくいなどの課題があり、日本大学文理学部においても同様の課題があった。

 そこで、NECソリューションイノベータと日本大学文理学部大澤研究室(以下、大澤研究室)は、メンタリング指導者の専門的なスキルやノウハウを参考に、メンタリング指導者の問いかけフレーズを設計し、学生への問いかけをAIを用いてシステム化した。さらに、問いかけには効果的な順序があることを発見し、これをシステムに実装することで問いかけの自動化を実現。システムを日本大学文理学部の1on1ミーティングでのメンタリングに用いて、学生へのメンタリングの支援効果を確認し、AIを用いたシステムによるメンターの代替が、どの程度可能かを検証する。

 実証実験では、AIを用いたシステムとの対話により、相談者が自らの考えを深められたかや、システムへの抵抗感、UX効果などを検証する。人によるメンタリングと比較することで、システムの特長を明らかにする。

 実証は、実験への協力を得られた1~4年生30人程度を対象とする予定。インターネットに接続されたPCからWebアプリケーションシステムにアクセスして利用できるため、自宅などで活用することを想定している。実証実験に参加した学生に実施するアンケートから、効果などを検証する。

システムを利用してメンタリングを受けるユーザー(相談者)の画面イメージ

 今後は、システムをファシリテーションにも適用し、チームやコミュニティのマネジメント支援への可能性を探る計画をしている。また、人に寄り添うAIの構築を目指すNECソリューションイノベータと大澤研究室が、2021年から共同で開発してきた「人の心を学ぶことに特化した機械学習技術」を、システムの実証をもって前進させ、システムの社会実装に挑戦していくとしている。

 NECソリューションイノベータは、探究学習をICTで支えるべく、実証実験を通じてプロフェッショナルのスキルを代替するシステムの技術改善や強化を進めていく。さらに、システムの社会実装を通じて、幅広く属人的な業務への適用を視野に、社会課題の解決を目指していく。RINGSは、実験段階からシステムを積極的に大学での教育に取り入れ 、これまで難しかった学生一人ひとりの個性を伸ばす教育の実現を目指す。