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セラク、青果出荷量を予測するAIシステムを開発 主要産地の出荷量予測情報を提供開始

キャベツ、玉ねぎ、きゅうり、トマトの4品目に対応

 株式会社セラクは27日、過去の市場流通量や気象情報などのデータをAIで分析し、青果の出荷量を予測するシステムを開発したと発表した。キャベツや玉ねぎ、きゅうり、トマトの4品目の主要産地に対して、出荷量予測情報の提供を開始したほか、その情報を活用し、圃場単位でキャベツの出荷時期・出荷量を予測するシステムを構築している。

 このシステムは、データ駆動青果流通支援コンソーシアム(株式会社セラク、株式会社ウェザーニューズ、株式会社R&Cホールディングス、ドローン・ジャパン株式会社)が、農林水産省の「国際競争力強化技術開発プロジェクト」の支援を受けて研究開発に取り組み、実現したもの。事前に収穫時期や収穫量を提供することで、安定的な農業経営や、青果流通事業者における経営リスクの低減、需給不均衡に起因するフードロスの解消に寄与するという。

 具体的には、流通量が多く、流通量や価格の変動幅が大きいキャベツ、玉ねぎ、きゅうり、トマトの4品目について、1カ月先までの出荷量を予測して提供する。予測情報は、各品目の主要10産地(都道府県単位)の出荷総量の予測値で、1週間単位で提示される(絶対誤差率は約20%)。

 この産地出荷量予測は、農研機構が運営する農業データ連携基盤「WAGRI」のAPIとして提供され、各種サービスやアプリケーションに組み込んで利用できるとのことで、セラクでは、農業支援クラウドサービス「みどりクラウド」の営農支援アプリに組み込み、情報の提供を行っている。

 なお、国際競争力強化技術開発プロジェクトの取り組みの中で、地方青果市場を運営するR&Cながの青果(長野県)では、この予測サービスを活用し、営業担当者の出荷予測業務に要する時間を最大18%短縮したほか、担当者による価格の予測精度が向上し、利益率を高める効果が確認されたとしている。

 また、産地出荷量予測にて得られる産地全体の収穫量の傾向を基に、キャベツの圃場単位での出荷量、出荷時期を予測するシステムも構築された。キャベツは定植された株数以上の数を収穫できないことから、同システムでは、出荷可能となる時期の株数と重量を掛け合わせて予測を行っている。さらにドローンによる植生指数を測定し、その結果を加えることで、より正確な予測を可能にしたとのこと(平均絶対誤差率13.1%、出荷可能日の誤差は8日間)。

 こちらの機能については、出荷可能株数・作物重量それぞれを予測するモデルを、WAGRI APIを通じて、各種サービスやアプリケーションに組み込んで利用可能。セラクでは、みどりクラウドで提供している農作業記録・管理サービス「みどりノート」に組み込み、生産者や実需者向けに予測情報の提供を行っている。