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富士フイルムビジネスイノベーション、豪州MicroChannel Servicesの買収を発表

基幹システムビジネスのグローバル展開を本格化

 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は2月28日、基幹システムの販売・導入支援事業のさらなる成長加速に向けて、豪州のITサービス企業MicroChannel Services Pty. Limited(以下、MicroChannel社)と、そのグループ会社の株式を取得すると発表した。MicroChannel社は3月1日から、社名をFUJIFILM MicroChannel Services Pty Ltdに変更し、現在FUJIFILM Data Management Solutions Pty Ltdの代表を務めているBrett Matthews氏が新CEOに就任する。今回のMicroChannel社の買収について、2月28日に記者説明会が行われた。

 MicroChannel社は、オセアニア地域において、Microsoft Dynamics365などの基幹システムの販売・導入支援を主業とし、中堅・中小企業向けではトップクラスの実績を持つ企業。同社は、豪州でMicrosoftのソリューションパートナー(旧:Microsoftゴールドパートナー)に認定されていることに加え、Microsoft以外の基幹システムであるSAPやSageの中堅・中小企業向けNo.1リセラーをはじめ数多くの表彰歴を持っている。また、各種基幹システムの販売・導入支援事業に関する確かな実績に裏付けられた強固な顧客基盤に加え、高度な技術を備えたIT人材を多数保有している。

 富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOの浜直樹氏は、MicroChannel社を買収した背景について、「これまで当社は、ビジネスDXの提供を通じて、顧客企業の業務プロセス全体の最適化を支援してきた。昨年1月からは、業務プロセスの中核を担う基幹システムの販売・導入を支援するビジネスに事業領域を拡大。第一弾として、Microsoft Dynamics365の販売・導入支援サービスで豊富な実績を持つHOYAデジタルソリューションズを買収し、富士フイルムデジタルソリューションズを設立した。そして今回、この基幹システムビジネスをグローバルで本格展開するべく、豪州のMicroChannel社を買収し、3月1日付でFUJIFILM MicroChannel Servicesとして新たに活動を開始する」と説明した。

富士フイルムビジネスイノベーション 代表取締役社長・CEOの浜直樹氏

 「FUJIFILM MicroChannel Servicesの持つ優秀なIT人材と確立された顧客基盤を、富士フイルムグループが持つさまざまなリソースと融合することで、多くのシナジーを創出していく。まずは、オセアニア地域での早期のシナジー創出を図る。さらに、買収を通して得た知見やリソースを、富士フイルムデジタルソリューションズに活用することで、当社のビジネスDXの提供能力をグローバルに拡大していく。今回の買収をテコに、基幹システムビジネスを含むビジネスソリューション事業全体の売上高を、2027年度には2021年度実績の1.5倍以上となる4000億円以上へと成長させる」と意気込みを語った。

ビジネスソリューション事業の売上目標

 MicroChannel社買収による基幹システムビジネス強化に向けた取り組みとしては、「基幹システムビジネスのグローバル展開を本格化」、「富士フイルムビジネスイノベーション関係会社とのシナジーによるオセアニアビジネスの拡大」の2つを挙げた。

MicroChannel社買収による基幹システムビジネス強化の目的とメリット

 富士フイルムビジネスイノベーション 執行役員 アドバンスドインダストリアルサービス事業本部長の井上あまね氏は、「豪州は当社のグローバル展開の起点となる重要市場であるとともに、商習慣が欧米に近いことからクラウド型の基幹システムが普及しやすく、市場の高い成長性が見込まれている。また、ターゲットとしている中堅・中小企業では、企業成長にともない業務効率化に向けてクラウド型基幹システムの新規導入需要が増加している。一方、超大手企業は、大手IT業者による個別開発を進めており、当社が重視する“Fit to Standard”のニーズが高いとみている」と、豪州を起点として基幹システムビジネスのグローバル戦略を加速していく考えを示した。

富士フイルムビジネスイノベーション 執行役員 アドバンスドインダストリアルサービス事業本部長の井上あまね氏

 同社関係会社とのシナジーによるオセアニアビジネスの拡大では、既存のオセアニアの顧客基盤やサービス、すでに展開している富士フイルムデジタルソリューションズのリソースの相互活用によりオセアニアにおけるビジネスソリューション事業を強化していく。

MicroChannel社買収による基幹システムビジネス事業のシナジー

 「具体的には、FUJIFILM Business Innovation Australiaが持つ既存の複合機顧客基盤を活用したクロスセルを実施するとともに、関係会社の持つソリューションサービスを基幹システムにも連携していく。また、豪州でマネージドプリントサービスなどを展開するFUJIFILM Upstream Solutions、および豪州の中堅・中小企業向けに一気通貫でITソリューションサービスを展開しているFUJIFILM CodeBlueの顧客への基幹システム販売により、豪州でのソリューションサービス事業をさらに推進していく」(井上氏)という。

 「日本で先行して基幹システムビジネスを展開する富士フイルムデジタルソリューションズとの連携では、オフショアリソースの相互活用やケイパビリティのフル活用、MicroChannel社のビジネスモデルやノウハウの取り込みによってシナジー効果を発揮し、当社も含めたグループの総力を結集してオセアニアでのビジネスを拡大していく」(井上氏)と意欲を見せた。