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デロイト トーマツ、ESGデータと企業価値の相関分析を経営管理に活用するためのアドバイザリーサービスを提供

 デロイト トーマツ グループの有限責任監査法人トーマツは2日、企業が非財務情報の企業価値への影響を定量的に分析し、経営管理に活用するためのアドバイザリーサービスを開始した。

 トーマツでは、非財務情報開示の標準化・義務化に向けた動きが活発化している一方で、ESG(Environment、Social、Governance)データと企業価値との関連性の分析は道半ばの状態にあると説明。そこで、Greenhouse Gas(以下、GHG排出量)や排水量、女性管理職比率、取締役報酬上限値など企業が開示する個々の非財務指標データと、企業価値(PBR:Price Book-value Ratio)との関係性を定量的に検証する相関分析モデルを開発したとしている。

 相関分析モデルについては、ESGデータと企業価値の相関分析にPBR(株価純資産倍率)を用いることは一般的に行われているが、PBRをESGデータだけで説明することはできず、経営の意思決定への活用は困難だったと説明。そこで、トーマツでは、PBRとの相関関係が見いだしやすい企業財務や市場に関する指標も加味した分析を行うことにより、PBRに対して有意に貢献するESGデータを定量的に導出することを可能にした。また、分析にあたっては、財務要素の説明変数をベースとしながらも、説明困難な範囲については、非財務活動の効果として取り入れるとしている。

相関分析モデル概要

 非財務データの分析には、外部データと内部データをあわせた分析アプローチを適用する。外部データは、格付け会社やWeb情報などから一般に入手可能なデータで、GHG排出量、女性管理職比率など、各社共通して保持するデータが中心となる。PBRに対する影響度を、競合他社や、業界、業種全体で算出・比較することで、よりPBRに貢献する非財務活動の探索を可能にする。

 内部データは自社から収集されたデータで、アンケート自由回答など、非構造化データの活用も可能。これらは、自社固有の非財務KPIに関するデータが中心となる。

 分析結果は、経営管理(中期経営計画に対して非財務の要素を織り込む・ESGデータをKPIとして設定する)や、開示戦略(機関投資家、格付け会社、アナリストとの対話)において活用できる。

 PBRに有意に貢献する非財務活動が分かることで、経営管理上、マテリアリティ選定などに客観的根拠を付与できる。また、定量的な分析結果をマテリアリティ見直し時の基準として用いられる。

 さらに、PBRへの貢献が明確に説明できる、非財務活動の定量的な分析結果を開示できる。非財務活動に関する報告・レポートが定量的な根拠を持つことで、企業の対外的なアカウンタビリティに貢献できるとともに、機関投資家・格付け会社・アナリストを含む市場からの評価を高めることにも貢献できる。

 デロイト トーマツ グループでは、企業活動の努力をステークホルダーへの価値向上につなげる経営管理基盤として、意思決定に必要なインプットと企業活動の結果(アウトプット)を、財務・非財務問わずに収集・分析できるアナリティクス基盤を整備・実装・活用する、「ESGデータドリブン経営」の実装が今後企業に不可欠になると考えており、今回のモデルはESGデータドリブン経営にも貢献するとしている。