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IIJ、IoTデバイスなどで容易にeSIMの利用を可能にする新技術「LPA Bridge」を開発

 株式会社インターネットイニシアティブは14日、キーボードやカメラなどの入出力装置を持たないウエアラブル機器、IoTデバイスなどでも、容易にeSIMを利用できるようにする新技術「LPA Bridge」を考案し、同技術を商用レベルで利用可能なシステムを開発したと発表した。

 eSIMは、通信に必要な情報を含むeSIMプロファイルを、インターネット経由でダウンロード(リモートプロビジョニング)することで、物理SIMを使わずにモバイル通信サービスを利用できる。

 eSIMのリモートプロビジョニングには、移動体通信事業者の業界団体「GSMA(GSM Association)」により、「コンシューマモデル」と「IoTモデル」の2つの規格が定義されている。コンシューマモデルは、スマートフォンのように入出力装置(キーボード、カメラなど)が具備された機器での利用を想定しており、QRコードの読み取りやアクティベーションコードの入力などにより、利用したい通信サービスを利用者が選択して、eSIMプロファイルをダウンロードできる。

 一方、IoTモデルは、入出力装置のないデバイスでの利用が想定されているが、eSIMプロファイルの提供には通信事業者の支援が必要で、実質的に通信サービスの代理店やMVNOとなって通信サービスの提供を行う必要があるなど、機器メーカーにとってはハードルが高く、普及が進んでいないのが現状だという。

 こうした課題に対して、IIJは、入出力装置がないデバイスに対して、eSIMのリモートプロビジョニングを可能にする技術となる「LPA Bridge」を考案した。

 LPA Bridgeは、カメラやキーボードなどの入出力装置を備えない通信対応家電(ウエアラブル機器・ガジェット)や、小型のIoT機器・組み込み制御機器、LTEルーターなどへの適用を想定する。

 入出力装置がないデバイスに、コンシューマモデルでeSIMプロファイルのプロビジョニングするために、GSMAによってコンシューマモデルに向けて標準化されている「LPA(Local Profile Assistant)」を、「アクティベーションコードの入力などインターフェイス部分を担当する機能(LPA App)」と、「eSIMとリモートプロビジョニング用サーバー間の通信の中継を行うための機能(LPA Bridge)」の2つに分割。その上で、デバイス内に「LPA Bridge」を実装し、デバイスにeSIMを設定するための利用者の機器(スマートフォンやPCなど)内に「LPA App」を実装する。

 デバイスに実装されたLPA Bridgeと設定用機器にインストールされたLPA Appは、一体となって「LPA」に相当する機能として振る舞うため、GSMAの規定するコンシューマモデルに基づいてeSIMプロファイルをデバイスで利用することが可能になる。

コンシューマモデルeSIMのリモートプロビジョニングフロー (スマートフォンの例)
コンシューマモデルeSIMのリモートプロビジョニングフロー (LPA Bridge利用)

 LPA Bridgeを適用することで、スマートフォンやPCと同様に、利用者自身が選択して契約したeSIMプロファイルを、デバイス上のeSIMにリモートプロビジョニングすることが可能になり、機器メーカーは通信契約に関わる負担から解放される。

 IIJは、商用レベルで利用可能な「LPA Bridge」「LPA App」の開発を完了しており、今後、IoT機器メーカーやデバイスメーカーに対して、「LPA Bridge」「LPA App」をライセンス供給する予定と説明。また、すでに複数のデバイスメーカーとの間で、先行的に商品開発を想定したPoCを開始しており、さらにPoCへの参加メーカーを広く募集していくとしている。