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富士通、既存情報システムを最新化するモダナイゼーションサービスを強化

 富士通株式会社は1日、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向け、既存情報システムを抜本的に見直し、最新化する「モダナイゼーションサービス」を強化すると発表した。企業が持つ現行資産(業務プロセス、データ、アプリケーション、IT基盤)を可視化し、DX基盤としてのあるべき姿をデザインした上で、スリム化やモダナイゼーションを支援するという。

 モダナイゼーションサービスは、老朽化した企業内のITインフラを最新化するサービス。アプリケーションの変更を最小限にとどめながらITインフラを刷新することにより、企業のITライフサイクルを、運用性の向上と運用コストの削減の両面から支援してきた。

 今後は、さらにあるべき姿に最適化されたモダナイズの推進を加速させ、俊敏性や強靱性を志向した、サステナブルな経営に資する企業の情報システムの成長を支援するとのこと。

 なお富士通では、モダナイゼーションサービスを、1)業務・資産可視化、2)グランドデザイン、3)情報システム全体のスリム化、4)モダナイズ――、の4ステップに分けており、それぞれにおいて企業にサービスを提供する。また、企業が自らモダナイゼーションを実施する場合は、モダナイゼーションに関する技術支援も行うとした。

 1)では、Celonis EMSやSAP Signavioなどの各種プロセスマイニングツールを活用した業務プロセスの可視化、マスターデータの棚卸し・データアナリティクスによるデータの可視化、アプリケーションの可視化を実施する。このうち、アプリケーションの可視化においては、富士通のソフトウェア地図によるアプリケーションの構造分析、稼働資産分析、類似分析、資産特性分析、システム相関分析を行う。

 2)では、Ridgelinezおよびコンサルティングパートナーと連携し、エンタープライズアーキテクチャ(EA)に関する手法の1つであるThe TOGAF Standardなどにより、グランドデザインを作成する。

 また、企業が保有する情報システム資産の中には、ほとんど使われていないにもかかわらず維持・稼働しているものがある。3)では、可視化を通じて、稼働システム内の資産のスリム化を図るとのこと。

 そして、4)のフェーズにおいて、企業の資産における個別情報システムに応じて、Fujitsu North Americaのリライトソリューション「PROGRESSION」などの各種ツールを用いた、リライト、リホスト、再構築、サービス移行などを適用し、モダナイズを実施する。IT基盤に関しては、Fujitsu UvanceのHybrid ITをベースに、パブリッククラウドやプライベートクラウドへの移行を支援するとしている。

 このほか富士通では、モダナイゼーションにかかわる社内外の技術情報やノウハウ、知見を集約するCoEとして、「モダナイゼーションナレッジセンター」を9月1日に新設した。業種ごとに社内の各部門で保有している移行実績やベストプラクティス、有用なツールやサービス、専門パートナーに関する情報などを集約する。

 同センターでは、1)社内外の知見の収集・整理、2)情報共有の推進、3)各種ツールやサービスを提供する専門パートナーとの連携、4)商談・技術支援、5)デリバリー実践に基づく知見へのフィードバック、6)顧客システムのモダナイゼーション実施状況把握――、といった機能を提供。モダナイゼーションに精通したスペシャリストがビジネスプロデューサーやSEをサポートし、密接に連携しながら顧客のモダナイゼーションを支援するとのことだ。

 なお同センターは、9月より日本国内でのサポートを開始し、欧州、北米をはじめグローバルでのサポートを順次開始する。