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ソーラーウインズ、モニタリングから一歩進んだオブザーバビリティに注力

監視ソリューションのリーダーからオブザーバビリティのリーダーを目指す

 ソーラーウインズ・ジャパン株式会社は16日、事業戦略説明会を開催し、これまで同社が主に提供してきたモニタリングソリューションを一歩進め、オブザーバビリティ(可観測性)の高いソリューションを提供していくことを明らかにした。

 米SolarWinds 代表取締役社長 兼 最高経営責任者のスダカー・ラマクリシュナ(Sudhakar Ramakrishna)氏は、モニタリングとオブザーバビリティの違いについて、「多くの顧客の環境には、ネットワーク、データベース、アプリケーション、システムが存在する。モニタリングでは、これら個々の要素を見てその結果を報告するが、その中から問題の相関性や原因を見いだすのはIT専門家の役目だ。オブザーバビリティでは、管理者がこうした要素の相関性を自ら見いだすことができ、スピーディに問題が特定できるようになる」と説明、「これにより、IT管理者の生産性が高まり、コストや複雑さの削減につながる」としている。

米SolarWinds 代表取締役社長 兼 最高経営責任者 スダカー・ラマクリシュナ氏

 ラマクリシュナ氏は、同社が進化を遂げる中でも顧客の投資を保護するとしており、「シングルプラットフォーム上にオブザーバビリティとサービスデスクを統合する。これにより、環境の自動化や状況観測および修復作業が単一プラットフォーム上で実現する」と話す。

 これに伴い同社では、「ビジネスモデル戦略も進化させる」とラマクリシュナ氏。具体的には、1)製品をサブスクリプションモデルで提供し、顧客が新製品を購入することなく機能強化などの恩恵をそのまま享受できるようにすること、2)製品ごとに課金するのではなく、機能スイートに基づいてパッケージ化された価格体系にすること、3)ノードベースでライセンスを提供し、顧客の柔軟性を高めること、4)プライベート、ハイブリッド、SaaS全体で一貫性を担保すること、の4点を挙げている。

SolarWindsのビジネスモデルについて

 オブザーバビリティソリューションの第一弾として同社では、4月に分散型ハイブリッドネットワーク環境を包括的に監視し把握できる新製品「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」を発表している。

新製品「SolarWinds Hybrid Cloud Observability」

 新製品の特徴について、ソーラーウインズ・ジャパン 代表取締役社長の脇本亜紀氏は、「包括的な可視化ができる点が大きな特徴で、トラブル解決までの時間短縮が可能。また、従来の監視はアラートが多かったが、新製品ではAIや機械学習を活用し、普段とは異なるアラートに注目、アラートの削減にも取り組んでいる。今後は完全なクラウドサービスへと進める予定で、現在顧客が利用しているSolarWindsのライセンスから、Hybrid Cloud Observabilityへのマイグレイーションもサポートする」と述べている。

ソーラーウインズ・ジャパン 代表取締役社長 脇本亜紀氏

 また、新製品は「セキュア・バイ・デザインを採用している」とし、ソフトウェア開発のライフサイクルからインフラストラクチャ、人材に至るまで、高度な多階層セキュリティフレームワークを順守していると述べた。

 新製品はオブザーバビリティ製品として、「関連性を重視したトラブルシューティングや可視化を実現する」と脇本氏。また、今後の製品ロードマップとしては、「モジュール化やAIOpsの利用、オープンテレメトリのサポートなども視野に入れている」と話す。さらに、ITサービス管理との連携により、「最終的に修復まで兼ね備えた自動化が実現する」という。

 ターゲットとなる顧客については、「オブザーバビリティにアップグレードすることで、より広い可視性や柔軟な展開、シンプルな価格設定とパッケージングを利用したいと考える既存製品のユーザーや、ばらばらのツールから包括的なソリューションへの移行を希望するユーザー、複雑なIT環境での可視化を求めているユーザー、クラウドに移行中で、オンプレミスとクラウドのハイブリッドなオブザーバビリティを求めているユーザーなど、幅広い顧客層に訴求していきたい」としている。

ターゲットとなる顧客

 また脇本氏は、これまでの国内での事業戦略として、「監視や可視化の領域で、顧客にとって信頼できるアドバイザーになること」を挙げていたが、その取り組みの中で「特に進んだ顧客の中には、性能監視から一歩進んで予兆を検知したいという顧客がいる」と認識、「予兆検知までのロードマップを描いている顧客に対し、オブザーバビリティソリューションを提供していきたい」と述べた。