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BlackBerry、「BlackBerry Jarvis」の新チャネルパートナー13社を発表

ミッションクリティカルの組み込みシステムへ販売拡大

 BlackBerry Japan株式会社は25日、ソフトウェア構成解析ツール「BlackBerry Jarvis」について、アジア太平洋(APAC)地域における新しい13社のチャネルパートナー(ディストリビューターと付加価値インテグレーター)を発表した。

 同日に行われた記者発表会では、「BlackBerry Jarvis」の機能概要について紹介するとともに、日本で新たにチャネルパートナーとなったマクニカが、パートナー契約締結の背景や今後の展開を説明した。

 「BlackBerry Jarvis」は、組み込みシステム内のオープンソースソフトウェアとソフトウェアライセンス、さらにはサイバーセキュリティの脆弱性やリスクの露呈状況を検知・リスト化するバイナリソフトウェア構成解析/セキュリティテストツール。交通、医療機器、工場フロアなど、複雑なサプライチェーンを管理しながら厳格な規制を順守しなければならない業界や、サイバーシステムおよび物理システムへのセキュリティ攻撃のリスクが高まっている業界にとって必要不可欠なツールになっているという。

「BlackBerry Jarvis」の使用イメージ

 今回、新たにAPACチャネルパートナーとして発表されたのは、日本では、マクニカ、日立産業制御ソリューションズ、アイ・エス・ビー、ネクスティ エレクトロニクス、SCオートモーティブエンジニアリングの5社。韓国では、UPS Technology、KMS Technology、RT Solutionsの3社。インドでは、Gopalam Embedded Systems、AdvanTrak Technologiesの2社。中国では、Thunder Software Technology、Nanjing Leading R&D Information Technologyの2社。台湾では、Mcloudware Technologyの1社。

 今後、これら13社のチャネルパートナーは、安全なミッションクリティカルシステムを開発するAPAC地域の企業向けに、最新版「BlackBerry Jarvis 2.0」を提供していくという。

日本の新チャネルパートナー5社のロゴ

 BlackBerry QNX 製品兼ストラテジー担当バイスプレジデントのグラント・コーヴィル氏は、組み込みシステムのセキュリティ状況について、「近年、IoTを狙ったサイバー攻撃が急増しており、組み込みシステムのセキュリティリスクが高まっている。実際に、多くの組織がIoTデバイスのセキュリティインシデントの増加を経験している。こうした状況を受けて、各国は自動車、航空宇宙・防衛、医療、鉄道などの業界を対象に、安全性とセキュリティに関するさまざまな規制や基準を導入している。しかし、組み込みシステムに対する完全なセキュリティ対策は存在しないのが現状である」と指摘する。

BlackBerry QNX 製品兼ストラテジー担当バイスプレジデントのグラント・コーヴィル氏

 「こうした中で当社は、組み込みシステムの保護に特化した独自のソフトウェア構成解析ツールとして『BlackBerry Jarvis』を提供している。同ツールは、複雑な組み込みシステムにおける徹底したセキュリティ脅威の分析能力を備えており、正確かつ包括的に脆弱性を検知できるソリューションとなっている。また、クラウドベースのツールであるため、ユーザーは迅速・経済的に利用できるとともに、常に最新の機能が提供される」(コーヴィル氏)と、「BlackBerry Jarvis」の特徴を紹介した。

「BlackBerry Jarvis」の画面イメージ

 主な機能として、ソフトウェアバイナリの徹底的なスキャンを実行し、ソフトウェア部品表(SBOM:Software Bill of Materials)を作成する。これにより、セキュリティの専門家が手動で実行するのにかかる時間の何分の1かで、実用的なインサイトを提供する。組み込みシステムの開発者は、同ツールを使用することで、特定のセキュリティ規格への準拠を実証し、自社のシステムを強化し、システムの復元力を高めることができる。また、規制当局は、このツールによりコンプライアンスを実施し、メーカーやサプライヤーによるセキュリティの主張を検証することもできる。

「BlackBerry Jarvis」の機能概要

 「BlackBerry Jarvis」の日本での展開について、コーヴィル氏は、「今回APACチャネルパートナーに加わった13社のうち、5社が日本の企業であり、この新たなパートナーの協力のもと、よりミッションクリティカルな組み込みシステムへと『BlackBerry Jarvis』が提供されることに期待している。また、これを機に、既存のパートナーとの関係も強固なものとし、日本市場でのさらなるビジネス拡大を図っていく」と意欲を見せた。

 新たにチャネルパートナーとなった、マクニカ イノベーション戦略事業本部 スマートモビリティ事業部 プロダクトマーケティング1部 副部長 兼 デジタルマーケティング部 部長の大竹勉氏は、今回のパートナー契約締結の背景について、「近年、ソフトウェアの品質担保やリスクマネジメントのため、ソフトウェア部品表(SBOM)の重要性が高まっている。特にシステムベンダーでは、ソフトウェアの複雑なサプライチェーンや、ライセンス形態が異なるソフトウェアの混在、意図的・偶発的な脆弱性の内在といった課題に対して、SBOMによるリスク管理が重要になっている。しかし、これには、ソフトウェア構成の解析とバイナリコードのスキャンが不可欠であり、この2つの要件を満たし、組み込みシステムに最適なツールが『BlackBerry Jarvis 2.0』であると判断した」と説明した。

マクニカ イノベーション戦略事業本部 スマートモビリティ事業部 プロダクトマーケティング1部 副部長 兼 デジタルマーケティング部 部長の大竹勉氏

 今後の展開について大竹氏は、「『BlackBerry Jarvis 2.0』によって、顧客はソフトウェアの品質や構成に対する理解を深めつつ、SBOMを作成し、リスクプロファイルの監視が可能となる。すでに『BlackBerry Jarvis 2.0』を導入した顧客からは、『優れたUIによる直観的な操作で、解析結果もわかりやすく、SBOM管理において有効なツール』、『圧倒的に速い処理速度』、『既知の脆弱性だけでなく未知の脆弱性も検出可能』など、高い評価を得ている。当社では今後、『BlackBerry Jarvis 2.0』の提供を通じて、よりセキュアで、より堅牢性が高い、組み込み機器の開発に貢献していく。将来的には、当社の脆弱性トリアージ手法と合わせることで、脆弱性検出データの利活用を目指す」との考えを述べた。