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日立、グローバル製造業向けの「クラウド型設計業務支援サービス」

自社グループ内の先行利用で、3次元データの共有時間を約50%短縮

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、グローバルに事業展開する製造業向けに、「クラウド型設計業務支援サービス」を10月19日より販売開始すると発表した。

 「クラウド型設計業務支援サービス」は、国内外の拠点間において、設計業務の効率向上を実現するサービス。工業製品の設計業務に関連するさまざまなデータをクラウド上に集約し一元管理できる「設計業務ナビゲーター」と、設計データの処理に求められるクライアント環境を仮想デスクトップ上で利用可能な「3D-VDIサービス」を、クラウドサービスとして提供する。

 このうち「設計業務ナビゲーター」では、製品仕様書や図面、プロジェクト進ちょくといった設計業務に関連するデータを、クラウド上に集約・一元管理し、画面上で表示可能。これにより、拠点が地理的に分散していてもデータの迅速な共有を行えるほか、設計プロジェクトの関係者全員が同じ設計プロセスに基づいて業務を進めるため、作業の手戻りや設計不良を防止できるメリットがあるという。

 また、熟練設計者の知識や技術をメモとして残せるので、国内拠点から設計業務を移管された海外の若手設計者や新入社員への技能伝承にも活用可能とした。提供開始は2017年2月の予定。

 一方の「3D-VDIサービス」は、GPUのソフトウェア仮想化技術を活用した、高性能なVDI環境を提供するサービスで、3次元CADやCAEなどの設計ツールをクラウド経由で利用できる。インターネット環境があれば、サービスは海外出張などの際に別の拠点からでも設計システムを利用できるほか、設計業務ナビゲーター上のデータも迅速に利用可能。

 さらに、従来は拠点ごとに必要だった高性能なクライアント環境の構築・運用・保守コストを低減するほか、設計データをクラウド上で集中制御することで外部への持ち出しが困難になるため、情報漏えいのリスクが低減される、といったメリットも提供できるとしている。提供開始は2017年3月の予定。

「クラウド型設計業務支援サービス」の概念図

 なお日立では、グループ内の複数の部門で先行的に利用を進めており、例えば昇降機事業を手掛ける株式会社日立ビルシステムでは、エレベーターのリニューアル工事に伴う、壁面などの構造物に関する3次元データの共有にかかる時間を約50%短縮できたとのこと。

 日立は、製造業のバリューチェーンの全体最適化を支援するサービス群を「Hitachi Total Supply Chain Management Solution」(TSCMソリューション)として体系化しているが、今回のサービスもそのひとつに位置付け、自動車や電気機械など、グローバルに事業展開する製造業向けに販売を進める考え。加えて今後は、IoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」も活用してサービス強化を継続するとしている。

TSCMソリューションにおける「クラウド型設計業務支援サービス」の位置付けとIoTプラットフォーム「Lumada」との関係