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インフォビップ、SaaS型のカスタマーコミュニケーション基盤を国内で提供開始

 インフォビップ合同会社は29日、オールインワンのカスタマーコミュニケーションプラットフォームを日本で提供すると発表した。

 インフォビップの本社である英Infobipは、2006年に英国ロンドンで設立された企業で、CPaaS(Communications Platform as a Service)分野での実績を持っている。

 今回は、ECサイトを運営する企業などをターゲットに、顧客のサイト利用登録から、コンタクトセンター、サポートまでをカバーするアプリケーションを提供する。日本法人のカントリーマネージャー 齋藤稔氏は、「日本ではまだ知名度が低いが、カスタマーエンゲージメント、コンタクトセンター、オムニチャネル対応を1つのインターフェイスで対応できるのは当社だけ」とアピールする。

 今後、グローバル企業、国を超えてeコマースを展開する企業などをターゲットに国内での顧客獲得を目指す。そのため、国内でのアライアンスパートナーシップの構築を進め、日本法人についても体制強化を行う計画だ。

インフォビップ合同会社 カントリーマネージャーの齋藤稔氏

CPaaSを中心に成長してきたInfobip

 東欧クロアチア出身の創業者によって誕生したInfobipは、現在、全世界に70拠点を持ち、従業員数は3500人を超え、1200人以上のエンジニアが在籍する。B2Bクライアントは1万社以上あり、2021年の収益は12億ユーロとなっている。現在IPO準備を進めているが、企業買収によって事業強化を進めており、2021年10月にはVoIPサービスを提供する米国企業を買収している。

Infobipとは

 これまで同社の収益の柱となってきたのがCPaaS。調査会社がこの分野のリーダーとしてInfobipの名前を挙げている。同社のCPaaSでは、メール、Web経由での問い合わせ、音声通信、クラウドのコミュニケーションサービスなど異なるコミュニケーションシステム間をAPI経由で接続する。企業側は一元的にコミュニケーションを管理できるため、コールセンターなど顧客サービスで大きな力を発揮する。「社名等は公表できないが、日本でも大企業のお客さまにご利用いただいている」(齋藤氏)という。

 現在提供している主な機能は、カスタマーエンゲージメント/カスタマーサポート機能、既存製品やサービスの機能を拡張し、新規サービスを構築する機能、顧客が安全にサービスを利用するためのセキュリティやIDなどの認証、資産管理、プロセスの自動化と最適化を実現する機能。

 公表されているユーザーとしては、Uberをはじめ金融・保険、リテール・Eコマース、旅行・交通・オンデマンド、通信分野などのグローバル企業が顧客となっている。

Infobipのユーザー企業

B2C企業の利用を想定したSaaSアプリケーションを国内提供

 今回、日本で提供するのは、CPaaS技術をベースにカスタマーエンゲージメントとカスタマーサポート機能を活用した、B2C企業の利用を想定したSaaSアプリケーション。ターゲットとしているのは、海外ビジネスを推進しているグローバル企業、越境ビジネスを展開するEC事業者、プラットフォーム企業だ。

 ECビジネスの場合、Webやアプリケーションを介してスムーズなユーザー登録を行ってサービスを使い始めてもらう「オンボーディング」、登録したユーザーにサービスを利用してもらい、購入に結びつけてもらう「エンゲージメント」、利用者をサポートし、情報提供を行っていく「サポート/リテンション」という3つのフェーズがある。

 「この3つのフェーズすべてのアプリケーションを提供しているベンダーはない。フェーズごとにさまざまなベンダーの製品が提供されているが、その結果、顧客データのサイロ化やセキュリティ対策が難しくなるなどの課題を抱えている。それに対し、インフォビップが提供するのは顧客向けメッセージングをシンプルに。それぞれの顧客が最も使いやすいチャネルからアプローチを行い、複数のチャネルをまたいだコミュニケーションも、単一インターフェイスからすべて把握することができる」(齋藤氏)。

カスタマージャーニー全体を通し、顧客とのコミュニケーションを円滑化する

 具体的に提供するアプリケーションは、マーケティングオートメーション機能とエンゲージメントハブ機能を持つ「MOMENTS」、コンタクトセンター機能を持つ「CONVERSATIONS」、チャットボット構築機能を持つ「ANSWERS」という3つと、各アプリケーションで共通して利用できるCRMとカスタマーデータプラットフォームである「PEOPLE」。CPaaSによって電子メール、電話などに加えLINEのようなサービスからの問い合わせも一元的に管理し、対応していくことができる。

Infobipのソリューション

 日本ではSaaSアプリケーションの利用者を獲得していくために、強みを持ったパートナー経由での提案販売によって拡販を進めていく。また、日本だけで流通しているアプリケーション、サービスなどとの連携も進める。

 日本法人については、海外のベストプラクティスを日本で紹介し、製品利用定着を進めるほか、日本のユーザーからのリクエストを反映した機能強化などを進めていくことも計画している。

Infobipの国内戦略