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IBM、トランザクション処理中にAIによる不正検知を可能にする新プロセッサー「Telum」を発表

 米IBMは現地時間23日、企業のワークロードでディープラーニングを活用した推論や不正行為へのリアルタイムでの対応ができるようになる、新しい「IBM Telumプロセッサー(以下、Telum)」の詳細を、同社の年次イベント「Hot Chipsカンファレンス」で発表した。

 Telumは、トランザクションの実行中にAI推論ができるようにオンチップアクセラレーションを搭載した、IBM初のプロセッサーとなる。飛躍的に進歩した新しいオンチップハードウェアアクセラレーションにより、銀行、金融、商取引、保険といった用途や、顧客接点などに活用する顧客に、大規模なビジネスインサイトを提供できるよう設計されているとしている。TelumのIBMシステムへの採用は、2022年前半を計画する。

 IBMでは、企業は通常、不正が分かった後に検出技術を適用していくが、このプロセスでは、特に基幹業務に関わるトランザクションやデータから遠く離れた場所で不正の分析および検出において、現在のテクノロジーの制約で、時間や計算能力を大量に消費してしまう可能性があったと説明。

 こうした課題に対して、Telumを導入することで、「不正を検出する」から「不正を予防する」へと体制を変えることができ、不正検出やローン手続き、取引の精算や決済、マネーロンダリング防止、リスク分析といった、金融サービスのAIに特化したワークロードに、AIプロセッサーの全能力を活用できるとしている。

 Telumは、8つのプロセッサーコアに、高度なスーパースカラーとアウトオブオーダー命令のパイプラインを実装。5GHz以上のクロック周波数で動作し、エンタープライズクラスの異種ワークロードの要求を満たすよう最適化している。キャッシュは完全に再設計され、チップに相互接続できるインフラストラクチャーとして、1コアあたりのキャッシュは32MB、Telumチップを32枚まで拡張できる。

 Telumは、IBM Research AIハードウェアセンターが開発したテクノロジーを初めて採用したIBMチップとなる。また、Samsungが、7nm EUVテクノロジーノードで開発したTelumプロセッサーの技術開発パートナーとなっている。