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東京海上HDとSAPジャパンが協業、データを活用した中堅・中小製造業向けソリューションを開発

 東京海上ホールディングス株式会社(以下、東京海上HD)とSAPジャパン株式会社は30日、中堅・中小製造業者が抱える経営課題を解決するとともに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を支援していくため、協業を開始すると発表した。

 東京海上HDとSAPジャパンでは、企業にとってデータやデジタルの活用は不可欠となっているが、特に中小企業においては多額のシステム投資が難しいケースや専門人材が不足するケースもあり、経営課題解決の一つのハードルとなっていると説明。中堅・中小製造業が抱える経営課題やリスクに対して、東京海上グループでは、保険商品やリスクコンサルティングなどの提供により事業活動を支援しており、7月1日にはグループのデータ戦略の中核機能を担う「東京海上ディーアール株式会社」を立ち上げ、企業が抱える多様なリスクに対してデータを活用した新たな商品・ソリューション開発を進めている。

 また、SAPジャパンでは、25の業界ごとの企業ニーズによりきめ細かく対応するために、「SAP Business Technology Platform」を基盤とした、業界特化型の「イノベーションのためのソリューション」である「Industry Cloud」ソリューションを推進している。Industry Cloudでは、顧客企業がすぐに利用できる統合済みソリューションを提供することを目指し、各業界の顧客企業やパートナーとの協業を通じて展開を進めている。

 協業では、東京海上グループが持つ企業の事業活動に関わるリスクデータと、SAPジャパンが持つ企業向けシステムから得られる事業活動データを掛け合わせることで、中堅・中小製造業向けの新たなサービス・ソリューションを共同で開発することを目指す。

 具体的には、「ERPシステムのデータ活用による商品・サービスの開発」「サプライチェーンリスクに関わる商品・サービスの開発」「IoT・スマートファクトリーに関わる商品・サービスの開発」の3分野で協業を推進していく。

 ERPシステムのデータ活用による商品・サービスの開発では、中堅・中小製造業の事業に関わるデータを集約して可視化するSAPジャパンのERPシステムを、両社のネットワークを活用しながら普及していく。また、ERPシステムに蓄積された企業の事業活動データと、東京海上グループの事故データや保険料算出に関わるアルゴリズムを連動させることで、企業の事業リスクを洗い出して評価できるソリューションを共同開発し、データ連動型の保険商品や新たなリスクマネジメントサービスの提供につなげていく。

 サプライチェーンリスクに関わる商品・サービスの開発では、SAPジャパンのサプライチェーンマネジメントシステム(SAP Ariba Supplier Risk)に蓄積されたデータと、東京海上グループが持つ事故データを連動させることで、企業のサプライチェーンリスクを洗い出して評価できるソリューションを共同開発し、データ連動型の保険商品や新たなリスクマネジメントサービスの提供につなげていく。

 IoT・スマートファクトリーに関わる商品・サービスの開発では、SAPジャパンのIoT・スマートファクトリー関連システム(SAP Asset Strategy and Performance Management)に蓄積されたデータと、東京海上グループが持つ事故データや保険料算出に関わるアルゴリズムを連動させることで、機器設備や工場生産実行過程全般におけるパフォーマンス管理やリスク予兆検知につながる保険商品や、新たなリスクマネジメントサービスの提供につなげていく。