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レノボ、コロナ後の働き方に関する資料を無償公開 持続可能なテレワークを支援
2021年7月1日 11:14
レノボ・ジャパン合同会社(以下、レノボ)は6月30日、柔軟な働き方の普及に向け、テレワークに関する3つの資料を無償公開するとともに、ポストコロナ時代の働き方に関する説明会を開催した。
今回同社が公開したのは、「テレワークスタートガイド 第三版」「テレワークを続けるためのヒント集」「テクノロジーが変える私たちの働き方 数年先の将来に向けた8つの予測」という3つの冊子だ。
レノボ ワークスタイル・エバンジェリストの元嶋亮太氏は、これらの資料を提供する背景について、「この数カ月で多くの企業がコロナ後を見据えた働き方を模索するようになった。緊急対応としてのテレワークは終わりつつあり、ニューノーマルとして今後中長期的に働き方が変わる中、持続可能なテレワークを考える必要がある」と述べた。
ハイブリッドワークが働き方の主役になる
レノボでは2015年より、テレワークに制限を設けない「無制限テレワーク」制度を採用しており、2020年4月以降の緊急事態宣言中は、東京本社でのテレワーク実施率が95%をマーク。また、緊急事態宣言期間以外でも80%程度の社員がテレワーク中心で勤務しているという。
その一方で、同社の調査では、「日本では諸外国と比較して、『在宅勤務での生産性がオフィスより下がる』と回答した割合が圧倒的に高い。また46%のテレワーカーが、『同僚との対面コミュニケーションがなくなったことでストレスや不安を感じている』と答えている」(元嶋氏)ことから、コロナ後に日本でテレワークを定着させるにはまだ課題があるとした。
そこで元嶋氏は、今回公開した冊子の中から今後の予測について紹介。「ポストコロナの職場環境を構築する際の参考にしてもらいたい」とした。
まず、これからは「ハイブリッドワークが働き方の主役になる」と元嶋氏。レノボの調査では、コロナ感染が収束した後も42%の企業がハイブリッドワークを選択すると回答したという。「業務内容やライフステージなど、さまざまな状況により、最適な働く場所を選択することになるだろう。必ずしもオフィスが最適とは限らないし、在宅勤務こそ正しいというわけでもない。その都度生産性の高い場所で業務ができるよう、組織として柔軟性を担保する制度や環境を整えることが肝だ」としている。
また、自宅でもオフィスでもない「サードプレイス」を用意する必要もあると元嶋氏。例えば、オンライン会議ができる場所、1人で集中して作業できる場所など、その都度求められる環境が異なるためだ。そこで、「目的別に複数のサードプレイスをポートフォリオのように組み合わせ、企業側で選択肢を用意する必要がある」とする。
その選択肢のひとつとして、ワーケーションを取り入れることも一案だと元嶋氏は言う。つまり、ワークとバケーションを組み合わせた休暇型+業務型の働き方だ。同社の調査によると、17%のベンチャー企業やスモールビジネスは、コロナ後にオフィスをクローズし、完全な在宅勤務への移行を予定しているという。ただし、対面でのコラボレーションのニーズがなくなることはないため、「チームが集まる場所としてワーケーションを選択することも一案だ」としている。
加えて、今後はオンライン会議の質にも重点が置かれるようになると元嶋氏は語る。「これまでオンライン会議は対面会議の代替手段として使われてきたが、いまやメインになりつつある。その中で、音質やビデオの画質、ユーザーエクスペリエンスなどの再検討が始まる」として、今後もオンライン会議を使い続ける中で品質にも気を配るべきだと述べた。
さらに元嶋氏は、情報共有基盤を整備する必要があることについても触れた。皆が同じ場所で働いていた時には、ちょっとした声がけや対話で理解できていたことが、テレワーク環境下では伝わりにくくなるためだ。幸い、すでに日本企業の80%は情報共有ツールを導入済みだというが、元嶋氏は「それを継続的にメンテナンスし、ユーザーエクスペリエンスを重視した仕組みを確立しなくてはならない」と説明している。
このほかにも元嶋氏は、5Gを活用することでより柔軟性が高まり、クラウド技術によって従業員が自宅で業務用PCをゼロからセットアップできるようになるなど、技術の発展によって働き方が変わるとしている。
また、テレワークを実施する際には「トップダウンが重要だ」と元嶋氏。「制度や環境が整っていても、やはりトップが『テレワークをやろう』と号令をかけなければ進まない。もちろん、言うだけではなく、有言実行で自らテレワークを実践する必要がある」と話す。
今回公開した資料には、テレワークに関するさまざまなヒントが詰まっていると元嶋氏はアピール、「今後もテレワークの普及に向け貢献していきたい」と述べた。