ニュース

NECが農業ICTプラットフォーム「CropScope」を強化、豪州での実証成果を反映

 日本電気株式会社(NEC)は7日、カゴメ株式会社と共同で事業を展開しているトマト向けの農業ICTプラットフォーム「CropScope」を強化したと発表した。営農改善に役立つ各種機能を追加したほか、これまでと異なる環境下での検証において、安定した収穫量を実現したという。

 「CropScope」は、センサーや衛星写真により農作物の生育状況や土壌の状態を可視化するサービスと、AIを活用した営農アドバイスサービスで構成される農業支援ソリューション。熟練栽培者のノウハウを習得したAIが、水や肥料の最適な量と投入時期を指示するため、加工トマト生産者は、栽培技術の巧拙にかかわらず、収穫量の安定化と栽培コストの低減が期待できるという。

 また、熟練者の営農ノウハウの形式知化により、技術継承や優秀な熟練栽培者の営農が再現可能となり、産地の拡大や新規就農者の営農支援も行えるとのこと。さらには、トマト一次加工品メーカーの管理者や生産法人のオーナーが、自社圃場、契約農家の圃場におけるトマトの生育状況を網羅的に把握できるので、客観的なデータに基づいて全体最適な収穫調整が可能となり、生産性の向上が図れるとした。

 今回の機能強化では、AI営農アドバイスサービスの汎用性が強化された。NECとカゴメでは2020年に、豪州のカゴメ子会社と共同でCropScopeの実証試験を実施したが、これまでCropScopeを適用してきたポルトガルとは土壌や品種、灌漑設備など栽培条件が異なるため、地下灌漑での土壌水分シミュレーションや豪州での熟練栽培者のデータを学習し、分析手法などの強化を行っている。これにより、北半球から南半球まで、環境が異なる状況下においても熟練栽培者と同等の収穫量が実現可能になるとのこと。

 さらには、CropScopeを活用する世界各国の大規模生産現場ユーザーの声をもとに、土壌水分変化などの圃場異常を通知する機能、営農判断の優先順位を圃場ごとにリスト化しデータをシンプルに表現する機能、蓄積データを活用し営農改善や振り返りに活用できる圃場間比較分析機能などを搭載し、アプリケーションの利便性を向上させている。

 両社は今後、主に欧州や米州などのトマト一次加工品メーカーやトマト生産法人に向けた提案を強化するとのことだ。

営農プランにAI営農アドバイスが土壌水分の傾向や今後の予測から適量を示唆
土壌水分変化などの圃場異常を通知する機能