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IBM、「信頼できるAI」を構築する企業を支援するWatsonの新しい機能を発表

 米IBMは現地時間4月21日、信頼できるAIを構築する企業を支援する「IBM Watson」の新しい機能を発表した。新たな機能により、AI主導の意思決定の制御と説明、洞察の精度の向上、リスクの軽減、およびプライバシーとコンプライアンスの要件の遵守を進める企業を支援するWatsonツールがさらに拡張されるとしている。

 新たな機能としては、ガバナンス/リスク/コンプライアンスの統合プラットフォーム「IBM OpenPages with Watson」に、データプライバシー管理モジュールを追加。IBM OpenPagesにWatson Knowledge Catalogを統合することにより、企業はプライベートデータが、アプリケーションからAIモデルまで、組織全体でどのように使用されているかを総合的にほぼリアルタイムで監視できるようになる。

 世界中で新しいプライバシー規制が制定されており、企業は個人データの使用方法を説明できるようにする必要がある。この新しい機能は、精度を向上させ、監査時間を短縮するために、個人情報(PII)の報告を自動化できるように設計されている。

 予測計画の説明可能性の強化としては、統合計画ソリューションの「IBM Planning Analytics with Watson」に、予測を生成した方法について分かりやすい事実を提供する統計詳細ページを新しく追加する。2021年第2四半期に一般公開される予定のこの新機能は、生成する予測について、よりきめ細かい情報をユーザーに提供し、説明可能性とアカウンタビリティーを高める。

 統合開発・分析環境の「IBM Watson Studio」には、データプライバシーや守秘義務、法規制順守などの理由により、データを移動できないまたはデータの移動が禁じられている状況で機械学習手法を適用する企業を支援する、新しいフェデレーテッドラーニング機能を、テクニカルプレビューとして追加した。企業はIBM Watson Studioを使用することで、従来はサイロ化されていたデータソースを使用して、AIモデルをトレーニングできるようになる。

 また、IBM Watson Studioには、金融業や製造業、小売業など多くの業界で広く見られる時系列データを、自動化、分析、予測する際の課題に取り組むように設計された、時系列機能をベータとして追加した。この新機能は、企業が過去のデータまたは特徴に基づいて時系列の将来の値を予測するモデルの開発を支援し、洞察の精度を向上するために、電話による通話データログ、気象データ、輸送時間、小売売上、生産量などのデータを含むさまざまな単変量データセットにわたって精度を高められるように設計されているとしている。