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富士通研究所、エッジとデータセンターの連携により工場全体の大量映像を解析するシステムの自動設計技術を開発
2021年3月24日 11:51
株式会社富士通研究所は24日、ローカル5Gを活用して、工場全体に設置される多数のカメラで取得した大量の映像データを高速に解析可能なシステムの自動設計技術を開発したと発表した。
従来、映像解析処理は、現場に設置した高価なGPUを搭載したサーバー(GPUサーバー)上で行っている。今回開発した技術では、この処理を工程別に分割してコンテナ化し、安価なエッジサーバーと、データセンターに集約したGPUサーバーとで効率的に連携させて実行させる。
一連の映像解析処理を、入力処理や色調整などの前処理、AIによる解析処理と、表示などの後処理に分割してコンテナ化することで、処理ごとに分散して、リソース要件を満たす適切なサーバーに自動で配備できるようにした。リソース要件については、必要なCPUのコア数やメモリ量だけでなく、CPUのクロック周波数やGPUの性能など、従来の自動コンテナ配備技術では対応できない、映像処理特有の要件までパラメーターとして扱えるようにした。その上で、エッジとデータセンター間の通信量が最も少なく、かつ各処理のリソース要件を満たすように、各コンテナの配備先をエッジとデータセンターにあるさまざまなスペックのサーバーの中から自動で判断する。
これにより、エッジとデータセンターを連携させたシステムにおいて、解析性能を保証しながら、エッジに設置するサーバー台数および処理性能を必要最小限に抑えることができ、サーバーを含むシステム全体のコストを軽減できる。
さらに、複数のコンテナを1つのGPUで同時に実行可能にし、各コンテナでの処理におけるリアルタイム性の要求度合いに応じてスケジューリングすることで、データセンターのGPU利用率の効率化も実現した。
開発した技術を元に、作業品質の強化を目的として、組立工場を想定した実験環境において、16台分のフルHDカメラで撮影した作業員の行動の映像から、組み付け作業ミスと運搬物の滞留をAIで検出する映像解析システムを構築。16台のエッジサーバーとデータセンターを連携させたシステムを本技術で設計することで、数秒で作業ミスなどをフィードバックでき、サーバーを含むシステム全体のコストを最大3分の1まで削減できることが確認できたという。
富士通研究所では、ローカル5Gを導入した工場など、さまざまな製造現場での開発した技術の実証を進め、2022年度内に実用化を目指すとしている。