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富士通、安心で効果的なオンライン試験の実現に向け、AIによる不審行動検知や試験問題作成支援システムの実証研究を実施

 富士通株式会社は22日、慶應義塾大学医学部医学教育統轄センターの協力のもと、安心で効果的なオンライン試験の実現に向け、AIによる不審行動検知や試験問題作成を支援するシステムの実証研究を、2021年2月から3月にかけて実施したと発表した。

 実証研究では、顔の有無や向きの検出などが可能なAIにより、本人確認や試験中の不審行動を検知する米Proctorioのオンライン自動試験監督システム「Automated Proctoring Solution」と、多様な設問形式で柔軟かつ効率的にオンライン試験問題の作成や配信が可能な英Questionmark Computingの「Questionmark OnDemand」の両システムを使用したオンライン仮試験を実施。自宅などから受験する学生の様子をシステムで記録、解析することで、両システムの有用性を確認した。

 Automated Proctoring Solutionは、替え玉受験防止のために、試験開始前にオンライン画面上で身分証と受験者本人の写真を撮影した後、Webカメラで常時オンライン試験中の受験者を記録し、受験者のPCデスクトップ画面やPCが認識する音も記録する。また、記録中に顔検出などのAIを使って、カンニング行為として疑われる可能性が高い不審行為として、受験者が試験画面以外の方向を向くことや音声を発すること、スマートフォンなどの使用や受験者以外の人物の顔が映ることなどを自動検知し記録する。

 検知結果は受験者ごとにレポート形式でまとめられ、不審行為があった時間帯は不正の疑惑レベルに応じて赤色や黄色でアラート表示される。試験後、試験管理者は、アラート表示部分の画像や音声、PCデスクトップ画面の記録を確認することで、実際に行われた動作が不正行為に該当するものか否かを判断できる。

 実証研究では、被験者の学生が試験中にとった、横や下など他の方向を見る、画面から消えるなどの不審な行動すべてを顔検出などのAIにより自動検知でき、正常な行動と判別できることを確認した。また、試験中の様子を記録される受験者の不安を軽減し、システムの理解促進につなげるために、事前に自動不正検知結果の活用方法の説明を十分に行い、不審行為を疑われる動作の例を明確に示す必要性があることを確認したという。

自動不正検知システムの結果レポートのイメージ画面

 Questionmark OnDemandは、オンライン試験に特化したシステムで、問題に動画や画像を組み込むなど、オンラインの特性を生かし、20種類以上の形式の問題を作成できる。また、一度作成した試験を、設問単位で保管、管理できるため、既存の問題を組み合わせて効率よく新しい試験を作成できる。

 実証研究では、対象者全員が自宅などからアクセスして受験し、混乱なく解答を完了できた。また、自動採点により試験終了後すぐに採点結果を集計でき、教員が行う場合では一般的に約20分要する採点時間(10問×10秒×11名)を数分に短縮でき、採点業務が効率化できることも確認した。

 富士通では、今回の実証研究を踏まえ、オンライン上で効果的かつ安心して受験できる試験環境の実現に向けて新たなエドテックサービスを開発し、大学や専門学校などの教育機関、および企業における人材開発や採用、昇格アセスメント、研修、アセスメントを行う事業者に向けて、2021年度より提供を予定する。今後は、エドテックサービスの提供を通じて、教育分野のDXを推進し、学校や教育機関、企業におけるニューノーマル時代の新たな学びに貢献していくとしている。