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山下PMC、施設管理向けに“業界初の”クラウドサービス「b-platform」を提供

 株式会社山下PMCは、施設管理向けクラウドプラットフォーム「b-platform」を開発。4月1日からサービスを開始する。

 施設管理における業界初のクラウド型プラットフォームサービスと位置づけており、建物を所有する企業において、施設運営、施設管理などに関する業務フローの改善につなげるほか、従事する社員の働き方改革も実現できるという。

 「建物オーナーやマネジメントサイドの目線で開発したものであり、ありそうでなかったサービス。建物の資産価値向上建物にかかわる人たち、建物にかかわるすべての人たちの生産性を飛躍的に向上し、建物資産のポテンシャルを生かしきれる経営ツールになる。情報を企業の資産として活用し、経営判断のスピードアップに貢献したい」(山下PMC 取締役専務執行役員の木下雅幸氏)とする。

山下PMC 取締役専務執行役員の木下雅幸氏

 具体的には、オフィスビル、学校、工場などの建物オーナーや行政関係者、プロパティマネジメントやビルマネジメント会社、大手不動産会社から地場の中小規模不動産会社、生命保険会社、不動産運用会社などを対象に提供するとした。

図面に表れない情報をいつでも把握可能にする

分断していた建物情報を効率的に集約、情報の散逸防止と管理負荷削減を実現

 「建物は、計画から除却までの時間軸が極めて長い一方で、許認可申請、図面、コスト情報、改修履歴、不具合情報、定期報告など、大量の図面や建物情報を扱っている。だが、従来はほとんどが個別管理であり、重要書類が紛失して改修ができなかったり、改修時の経緯や図面が最新図として更新されていなかったりしたため、新たに図面を作成し、想定外の費用が発生するといった課題があった。また、施設運営段階では、故障や修繕情報、テナントとのトラブル情報など、日々情報が増加しながらもオーナーに使える形で残っていなかったり、ビルマネジメント会社や担当者が変わると情報が散逸したり、情報共有プラットフォームがないため何度も同じ説明をせざるを得なかったりして、経営のスピードが変化に追いつけず、建物を経営資源としてうまくいかせないといった課題があった」とする。

 b-platformでは、360°カメラで撮影した写真を活用。直感的なインターフェイスを用い、これまで分断していた建物情報を効率的に集約し、大量の図面や資料を写真とひもづけて管理することにより、長期にわたる情報散逸防止と管理負荷を削減できるのが特徴だ。建物にまつわるすべての情報が長期にわたり散逸することなく、体系的に一元管理でき、情報収集や管理負荷の削減が可能になるという。

重要情報を蓄積し、いつでも簡単に確認できるという

 またリモートワーク環境下でも、臨場感のあるタイムリーな情報共有が可能になるほか、360°写真上でのチャット機能や、ステータス管理機能、報告書作成機能なども搭載しており、メンバー間のコミュニケーションを深めるとともに、日々の業務の効率を向上できる。

 「コメントスレッド機能を使用し、360°写真上でリアルタイムの情報共有が可能。日々のやり取りを蓄積し、それをもとにしたレポート作成も可能になる。また、写真にひもづく図面や資料にいつでもアクセスしたり、ダウンロードしたりできるため、建物を多数保有していた場合にも、いちいち現地に行かずに、360°写真で確認できる。情報を倉庫にいって探さなくても済む」などとした。

コメントスレッド機能
現地に行かなくても、倉庫を探さなくても情報を確認できる

 さらにタイムトラベル機能によって、いつでも過去情報にアクセス可能な点も特徴で、日々の建物運営情報と合わせたデータベースを構築して、改修前後の写真を蓄積し、これを比較することもできる。迅速な情報分析を可能にすることで、経営判断のスピードアップと、健全な経営の実現に貢献できるとした。

タイムトラベル機能

 なお、同サービスで使用する画像は360°カメラによる撮影が前提となるが、静止画を組み合わせた技術などを利用して、それを活用することも可能だ。またb-platformは、外部のクラウドサービスを利用して運用するため、「セキュリティにおいて信頼性が高いクラウドサービスを選定している」という。

 月額利用料は、ライトプランが、建物ひとつあたりのデータ保存容量50GBまでで、2万5000円。初期登録費用が別途必要となる。このほかに、4施設単位のスタンダードプラン、施設数やデータ保存容量が無制限のエンタープライズプランも用意している。同社では、3年後には2000棟での利用、5~8億円の売上規模を想定している。

 なお山下PMCは、建設プロジェクトのマネジメント業務を行う企業で、日本初のPM(プロジェクト・マネジメント)、CM(コンストラクション・マネジメント)の専業会社だ。社員数は約200人で、そのうち120人以上が一級建築士の資格を取得している。現在進行中のプロジェクトの総事業費は3兆円以上とのこと。

 これまでにも、横浜市役所の新庁舎や横浜スタジアムの増築、森ビルデジタルアートミュージアム、エイベックス本社ビル、SIX WAKE ROPPONGI、北海道ボールパークFビレッジ新球場、日本テレビ番町スタジオ、丸の内二重橋ビルの東京商工会議所専有部などのプロジェクトに参画している。

 山下PMCの川原秀仁社長は、「当社は7年前から、プラットフォームの概念をリアルとデジタルの双方で達成しなくてはならないと考えてきた。2年前にはプラットフォームビジネスの最強法則を本にまとめ、訴求をしてきた。現実のマネジメントビジネスでは、建設産業の仕組みややり方を革新し、プラットフォームに反映させてきた」と前置き。

 今回の発表について、「デジタルの世界においてプラットフォームを担うサービスを紹介することになる。入念に基盤を構築し、開発には3年弱をかけた。建築にかかわる情報全般を、事業者やユーザーにわかりやすく、使いやすく開放するためのサービスである。建設産業と社会が未来へ足を進める第1になることを目指す」と述べている。

山下PMC 代表取締役社長の川原秀仁氏