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KDDIウェブ、畑の異常を検知し農業生産者へ通知する農業IoTソリューション「てるちゃん」

 株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ(KDDIウェブ)は9日、センサーが圃場(畑)の温度・湿度・照度の異常を検知し、農業生産者へ電話・メール・SMSで通知する農業IoTソリューション「てるちゃん」を提供すると発表した。同社では2018年より、沖縄県糸満市にある複数の生産者と実証実験を行ってきたが、作業効率向上の効果を確認できたたため、今回サービス化したとのこと。

 「てるちゃん」は、センサーで検知した圃場(畑)の温度などの異常を、生産者へ通知する農業IoTサービス。露地栽培やビニールハウス内など、電波が届く範囲であればどこにでも設置を行え、温度・湿度・照度の管理を必要とする、どんな種類の作物の栽培にも活用できるという。

 また、監視したい時間帯やセンサーの測定値は利用者(生産者)自身が設定可能。通知手段も、利用者が使い慣れた手段(電話・メール・SMS)を選べるだけでなく、複数の通知手段を設定することもできる。通知するタイミングに関しては、「検知後すぐ」に加えて「指定時刻」の設定も行えるため、例えば、起床時に通知を受けて確認するといった使い方に対応するとした。

 さらに、利用者が気になるタイミングで「てるちゃん」に電話をかけたり、スマートフォンやPCなどのWebブラウザを用いてシステムに接続したりすれば、最新の温度・湿度・照度の測定値を確認できる。

 なお、IoT機器に不慣れな利用者でも簡単に利用できるように、設置から利用開始までの手順を簡素化しており、スマートフォンやPCなどのWebブラウザ画面から新規登録と機器購入の手続きをした後、手元に届いた小型のセンサーを監視したい場所に設置し、ルータを電源に繋げば設置作業が完了。その後、通知に必要な条件をWebブラウザ画面から設定すればよい。

 最小構成時(ルータ1台・センサー1つ)の価格(税込)は、機器費用が2万4750円、システム利用料が月額990円。利用時には従量料金が必要となり、監視料金が1回あたり2円から。通知料金はメール利用なら0円から、確認料金はブラウザ画面からなら0円から利用できる。このほか通信費用として、インターネットのプロバイダ契約または携帯電話のパケット通信の契約が必要となる。

 ルータ・センサー間の最大設置距離は約200m(見通し距離)で、ルータ1台につきセンサーは8つまで接続可能。農閑期など、不要な場合は月単位で利用を一時停止することもできる。なお一時停止時は、アカウント維持費としてルータ1台あたり月額330円が必要。

 また、現在の「てるちゃん」は農業向けに最適化されており、「育苗や新芽時期の温度管理」「カビや病気を防ぐための湿度管理」「栽培設備の動作確認」など、農作業におけるさまざまな場面での活用が見込まれているが、温度・湿度・照度の管理が必要なほかの分野でも利用は可能。

 例えば、畜産施設の温湿度管理による家畜飼育環境の改善、食品や農産物倉庫の温湿度管理による品質の保全、オフィスや工場などの温湿度管理による労働環境の保全などにも応用できるとのこと。加えて、将来的には対応するセンサーの種類を増やし、ほかの農作物や圃場環境にも対応していく予定だ。