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国内外付型エンタープライズストレージシステム市場は3年ぶりのマイナス成長に、IDC Japan調査
2021年2月12日 15:00
IDC Japan株式会社は10日、国内外付型エンタープライズストレージシステム市場について、主要産業分野別予測のアップデートを発表した。
2020年の上半期の実績を反映した結果、2020年の国内外付型エンタープライズストレージシステム市場規模は前年比9.2%減の1893億4800万円と予測。前年と比べ、メインフレーム向けの支出額はオールフラッシュアレイへのシフトなどが寄与して大幅に増加する一方、COVID-19の影響を受けてオープン向けの支出額が大幅に落ち込み、3年ぶりのマイナス成長になると分析している。
IDC Japanが分類する10の主要産業分野のうち、すべてで前年より支出額が落ち込む見込み。支出額が200億円超の上位の主要産業分野は、支出額が多い順に金融、中央官庁/地方自治体、製造、通信/メディア、情報サービスの5分野で、前年と順位は変わらないものの製造の支出額が大きく落ち込むと予測している。
2024年の国内外付型エンタープライズストレージシステム市場規模は1976億5000万円で、2019年~2024年の年間平均成長率はマイナス1.1%になると予測している。今後、2020年のプラス成長が見込まれるメインフレーム向けで支出の見直しが行われ、オープン向けの支出の回復にも時間がかかることから、本格的な回復は2022年以降になるとしている。
2019年~2024年の期間中には、上位の主要産業分野については支出額の順位は変動しないが、2020年に大きく落ち込む製造と、クラウドバイデフォルトによるシステム更改が続くとみられる中央官庁/地方自治体は、市場全体の年間平均成長率を下回る。一方、クラウドサービス事業者が多く含まれる通信/メディアと情報サービスでは、クラウドサービスへの需要の高まりによって年間平均成長率はプラスになると予測している。
クラウドサービスの需要は、事業環境の先行き不透明感を背景に、ITインフラ需要の変動に合わせた支出が求められることで一層高まると分析。クラウドサービス事業者のインフラの規模拡大により、オンプレミスのインフラ需要を取り込み集約していくだけでなく、規模の経済の追求によるサーバーベースのSDS(Software-Defined Storage)へのシフトも進むと考えられるとしている。
こうした背景から、ストレージベンダーは、クラウドサービスにおけるビジネス機会の模索とともに、オンプレミスの需要をどのように自社のビジネスに取り込んでいくか、一層の工夫が求められると指摘。IDC Japanエンタープライズインフラストラクチャ シニアマーケットアナリストの加藤慎也氏は、「COVID-19の影響によるユーザーの事業縮小や撤退などによる案件の減少に加え、事業環境の変化に適応していくためのクラウドへのシフトが、市場の今後の回復を緩やかなものにする。ストレージベンダーがオンプレミスの需要を獲得していくにあたり、従量課金型の製品利用メニューの整備に限らず、各産業分野の変化を見据えたパートナーとの協業によるユーザーのビジネスへの貢献が求められる」と分析している。