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NTTテクノクロス、事務処理の“差し戻し地獄”をAIが解消する新ソリューション

稟議や社内申請の処理を効率化し従業員体験を向上

 NTTテクノクロス株式会社は2日、AI技術とNTTアクセスサービスシステム研究所の技術を活用し、稟議(りんぎ)や申請など社内の事務処理をする際に、企業独自のシステムやルールに合わせて書き方や注意事項を自動で提案する新たなソリューション「BizFront/SmartUI Decision Manager」を2月8日から販売すると発表した。

 2月2日日には、新ソリューションをリリースする狙いやソリューションの特徴、導入効果についてオンライン説明会が行われた。

写真左から:NTTテクノクロス 戦略ビジネス特区 イントラプレナーの安田航氏、NTTテクノクロス 取締役 戦略ビジネス特区長の角隆一氏

 「BizFront/SmartUI Decision Manager」は、NTTテクノクロスが以前から開発を進めていたAI技術に、NTTアクセスサービスシステム研究所の「UI拡張技術」を組み合わせたソリューション。既存の社内システムと組み合わせて利用することが可能で、社内手続きに関係する各企業独自のルールと個々の担当者が抱えている暗黙知のデジタル化を容易にし、事務処理をサポートする。これにより、社内の事務処理で発生しがちな“差し戻し地獄”を解消することができるという。

 NTTテクノクロス 取締役 戦略ビジネス特区長の角隆一氏は、「当社では現在、業務ストレスのない従業員体験を実現するEX(Employee eXperience)ソリューションに注力している。EXソリューションにより、コロナ禍での新しい働き方における従業員のストレスや不安を解消することで、企業の業績アップにもつなげることができると考えている。そこで今回、稟議や社内事務処理における業務ストレスをなくし、EXを向上する新ソリューションとして『BizFront/SmartUI Decision Manager』をリリースする。これを機に、将来的には、EXビジネスを当社事業の大きな柱に育てていきたい」との考えを示した。

NTTテクノクロスが考えるEXソリューション

 「BizFront/SmartUI Decision Manager」の主な特徴としては、「AIが申請時の書き方や注意事項を提案」、「既存システム改修不要でコスト削減が可能」、「社内ルールの管理/運用が簡単」の3点を挙げている。

 NTTテクノクロス 戦略ビジネス特区 イントラプレナーの安田航氏は、「従業員が稟議や社内申請を行う際に、複雑な社内ルールに対応した正確な処理を求められ、管理部門から何度も差し戻されるケースが増えている。当社では、これを“差し戻し地獄”と呼んでおり、特にコロナ禍のテレワークにおいて、従業員の大きな業務ストレスになっている。そこで今回のソリューションでは、社内の事務処理システムに申請内容のキーワードを打ち込むだけで、AIが事前に学習した社内ルールから、記載しようとしている内容に合うひな形や書き方の注意事項などを表示/自動記入する。これによって、前例を参照したり、内容確認や修正したりする手間が省け、“差し戻し地獄”を解消することができる」としている。

「BizFront/SmartUI Decision Manager」の利用イメージ

 また、NTTアクセスサービスシステム研究所で開発されたUI拡張技術を活用し、Webシステム上に新たな社内ルールやガイダンスを表示することが可能となる。これにより、全社で利用する大規模な既存システムでも改修する必要がなく、新しい表示内容を後付けできるため、導入が容易でコスト削減にもつなげることができる。

 総務と経理など業種や部署によって社内ルールの管理/運用手法が異なるケースでは、既存システムをAIが自動解析し、そのシステムに対応した社内ルールを一元管理できるデータベースを自動で生成する。これにより、手間をかけることなく社内ルールを管理/運用できるようになる。

 「BizFront/SmartUI Decision Manager」の導入効果について、安田氏は、「当社の従業員約1800人を対象に、昨年4月から10月まで全社規模の社内検証を実施した結果、購買や受発注、経費精算などにかかわる事務処理の稼働時間を年間約4000時間削減する効果が出ている。具体的には、ルールの選択誤り防止や承認ルートの間違い防止、必要書類の添付漏れ防止、記載漏れ防止を図ることができた」と説明した。

「BizFront/SmartUI Decision Manager」の導入効果

 価格(税別)は年額100万円から。同社では今後、従業員規模1000人以上の金融機関、インフラ、製造、官公庁をターゲットとして拡販を進め、5年後に年間10億円の売り上げを目指す。