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日立が新たな働き方に対応するIT導入支援、ペルソナ別のサブスクリプション型サービスにて提供

 株式会社日立製作所(以下、日立)は25日、新型コロナウイルス感染症によって変化した新たな働き方に対応するIT導入支援サービスを、サブスクリプション型メニューで提供すると発表した。従業員一人ひとりの業務内容や働き方に合わせ、ペルソナ別にサービスを提供する。2021年1月より順次販売を開始する。

 日立 サービスプラットフォーム事業本部 アプリケーションクラウドサービス事業部 働き方改革ソリューション本部 本部長の原田宏美氏は、「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務やテレワークの導入が急速に普及し、従業員の働き方やライフスタイルが大きく変化した。こうした中、企業では従業員が場所を問わず柔軟に働けるようIT環境を整備するだけでなく、業務プロセスの見直しや安全で快適なオフィス空間づくりなど、多くの課題を抱えることになった。ニューノーマルの時代では、社会全体の就業環境の変化に対応し、働き方を抜本的に見直す必要がある」と指摘。

 「日立もこのような課題に対応する中で、人財およびアセットマネジメントを改革し、それを支えるIT戦略を確立してきた。今回の新サービスは、こうしたノウハウや技術をもとに、新たな働き方を支えるサービスとして体系化したものだ」と説明している。

日立 サービスプラットフォーム事業本部 アプリケーションクラウドサービス事業部 働き方改革ソリューション本部 本部長 原田宏美氏

 新サービスは、場所を問わず快適に働けるIT環境を提供する「ワークスペース」と、生産性向上の実現に向けた人財マネジメントを推進する「プロダクティビティ」、データ活用によるオフィス空間の再設計で価値最大化を目指す「ワークプレイス」という3つのカテゴリーで構成される。

 「従業員ごとに業務内容や働く環境、事情は異なる。そこで、それぞれのペルソナに応じて3つのカテゴリーの中から必要なITサービスを選択して利用できるようにする」と、日立 サービスプラットフォーム事業本部 アプリケーションクラウドサービス事業部 働き方改革ソリューション本部 シニアストラテジストの荒井達郎氏は述べている。

日立 サービスプラットフォーム事業本部 アプリケーションクラウドサービス事業部 働き方改革ソリューション本部 シニアストラテジスト 荒井達郎氏
新サービスについて
新サービスのコンセプト
ペルソナについて

 まずワークスペースのカテゴリーでは、リモート環境でも安全に利用できるクライアント環境として「セキュリティPC2.0サービス」を用意する。同サービスは、シンクライアントの安全性とファットクライアントの利便性を組み合わせた新端末「セキュリティPC2.0」を中心に、許可されたユーザーのみがアクセスできるゼロトラストセキュリティに対応。これに、デバイスの調達から廃棄までを一括サポートする「LCM(ライフサイクルマネジメント)サービス」も組み合わせる。

 また同カテゴリーでは、テレワークでのチーム活動を支援する「Microsoft Teams活用シナリオ作成支援サービス」および「Microsoft Teams向けアプリケーション活用サービス」も提供する。

ワークスペースカテゴリーのサービスメニュー

 ワークプレイスのカテゴリーでは、従業員の安全確保とオフィス空間の管理を支援する「勤務場所・濃厚接触管理サービス」を提供する。同サービスにより、スマートフォンを活用して従業員の勤務場所やオフィスの利用状況が管理できるほか、社内での新型コロナウイルス感染者との接触有無をスマートフォンの位置情報などをもとに把握できるようになる。

 また、日立が参加する一般社団法人企業間情報連携推進コンソーシアム「NEXCHAIN」のオフィスシェア分科会では、オフィス移転と地方との連携モデルを模索しており、今後参加企業と共に都市部のオフィス機能のあり方や地方創生を支えるサービスを検討していくという。

ワークプレイスカテゴリーのサービスメニュー

 プロダクティビティのカテゴリーでは、非対面でも従業員の考えを把握できるよう、「1on1 PoC向け日立人財データ分析ソリューション」を用意。これは、生産性サーベイや配置配属サーベイと、勤怠データなどを掛け合わせて分析し、従業員の意識を見える化し、その結果を活用して1on1ミーティングを促進するというもの。

 加えてセールスワーカー向けには「商談先レコメンドサービス(AI活用)」を提供する。同サービスでは、蓄積されたさまざまな営業活動の情報をAIで分析し、過去の傾向から商談先企業や提案内容をレコメンドする。さらには、人財計画や勤怠情報などのデータ利活用に向け、タレントマネジメントシステムのデータインポートも支援する。

プロダクティビティカテゴリーのサービスメニュー

 このほか、ディスカッションを通じて、顧客企業のペルソナ導出からサービス提供までを担うコンサルティングサービスも提供する。今後日立では、同社のパートナー制度「Lumadaアライアンスプログラム」を通じ、働き方改革に取り組むパートナーと相互連携してサービスを拡充していく予定だ。

 これらのサービスを、すべてサブスクリプション形式で提供する。その理由について荒井氏は、「ペルソナごとの要望は常に変化する。必要なサービスをすぐに受けることができ、必要がなくなればサービスを停止できるといった自由度の高い形で提供したかった」と話す。また、競合のサービスと比較した場合の強みについては、「日立がすでに社内で実践し、有益だと実感しているものを、経験値とともに提供する点が強みだ」としている。

 日立では、2024年度に同サービスで年間100億円規模の売上を目指す。価格はすべて個別見積もりだが、オフィスワーカー向けの標準セットとして、セキュリティPC2.0サービス標準メニューと、Microsoft Teams向けアプリケーション活用サービス、1on1 PoC向け日立人財データ分析ソリューションを100人で契約した場合、参考価格は年間500万円からとなる。