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富士通、ニューノーマル時代に対応した小売業向けソリューション「Brainforce」

第1弾としてレジレス決済/キャッシュレス決済製品を提供

 富士通株式会社は16日、小売業向けソリューション「FUJITSU Retail Solution Brainforce」(以下、Brainforce)シリーズを製品化すると発表した。

 その第1弾として、スマートフォンのアプリで商品のバーコードなどをスキャンするだけで、レジを通さずに決済ができる「FUJITSU Retail Solution Brainforce ウォークスルーチェックアウト」と、キャッシュレス決済に特化したサービスとして「FUJITSU Retail Solution Brainforce キャッシュレス決済」の販売を開始する。

 同社では、2022年度末までに、「Brainforce」シリーズ全体および関連ビジネスを含めて、年間200億円の事業規模を目指す。

 は、「リテール市場においては、消費者が利便性とパーソナル化を求めており、小売業者にはITテクノロジーが不可欠になっている。またコロナ禍において、『店舗に行きたくない』『混雑を避けたい』といった意識変化が起こったほか、従業員の健康、安全への配慮も必要不可欠になっている。消費者と小売業者に新たな価値観や意識の変化が生まれており、小売業者にとっては、オンラインとオフラインを融合した便利で楽しい、新たな買い物体験の提供や、混雑回避対策など、ニューノーマルへの対応が求められている」と前置き。

 「富士通はリテールソリューションの提供により、消費者に対しては、『また来たくなる、買いたくなる』というワクワクと利便性の創出、従業員に対しては『働きたくなる』という効率性とヤリガイの創出、バリューチェーンの革新においては、『サステナブルになる』ビジネスの仕組みを創出することを目指している。Brainforceシリーズによって、リテールビジネスのデジタルシフトを支援することで、オンラインとオフラインを融合した便利な買い物を実現。小売業者の業務効率化とデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進したい」などと述べた。

富士通 ファイナンス&リテイルソリューションビジネスグループ リテールシステム事業本部 第二ソリューション事業部長の清水圭氏

ユニファイドコマース、フリクションレスショッピングを実現するソリューション

 Brainforceは、クラウド上に展開データベースや情報分析、決済などの業務アプリケーションと、それらにアクセスするためのAPI、スマホアプリ向けテンプレートで構成される。

 必要な機能をAPIから利用できるほか、機能を追加する際も新たなシステム開発は必要なくAPIからすぐに活用を行えるなど、短期間でシステムを構築可能になっている点が特徴だ。また、利用量に応じた料金設定としており、スモールスタートに対応。さらに、購買履歴や行動などの消費者情報をネットとリアル店舗の双方を統合して蓄積し、管理することもできる。

 同社では、複数のチャネルを活用するオムニチャネルにリアルタイム要素を加えたマーケティング手法である「ユニファイドコマース」、操作などの手間を省き、ストレスなくできる買い物を指す「フリクションレスショッピング」を実現するソリューションと位置づけている。

 「リテールビジネスのデジタルシフトに向けた業務アプリケーションをクラウドで提供するとともに、APIによってさまざまなサービスと連動し、各種データを蓄積できる。また、カスタマイズ可能なテンプレートを提供することで、短期間でのスマホアプリの開発が可能になる。さらに会員数や店舗数に応じた月額料金としているため、会員を限定した試行的な運用や、試験店舗から順次店舗を拡大するといった段階的な導入もできる」とする。

Brainforceの特長

 第1弾として販売する「Brainforce ウォークスルーチェックアウト」および「Brainforce キャッシュレス決済」は、消費者がスマホのアプリを使い、商品のバーコードをスキャンしながら買い物を行って、スマホで決済できるソリューションだ。

 スマホなどを使って、メールアドレスやクレジットカード情報を事前に登録。GPSと連動することで、店舗に入るとワンタッチでチェックインが可能になるとともに、店舗独自の情報がスマホに提供される。消費者は商品や棚についているバーコードを読み取り、かごのなかに商品を入れていけば良い。

 その後、支払い方法を選ぶだけで店内のどこでも決済できるため、レジに並ぶ必要がない点もメリット。決済後には、スマートフォンに表示されるQRコードを、店舗出口などに設置したQRコードリーダーにかざすと、決済完了の手続きが実行される。この手続きによって、不正利用の抑止効果が生まれるという。

Brainforce ウォークスルーチェックアウトの特長

 「チェックアウトする場所に店員を配置し購入物を目検することで、万引防止にもつなげる。現在は、クレジットカードとPayPayに対応しているが、今後、さまざまな決済方法に対応したい」(富士通 ファイナンス&リテイルソリューションビジネスグループ リテールシステム事業本部 第二ソリューション事業部 第一ソリューション部長の原田崇史氏)とした。

富士通 ファイナンス&リテイルソリューションビジネスグループ リテールシステム事業本部 第二ソリューション事業部 第一ソリューション部長の原田崇史氏

 店舗はレジ対応人員を効率化することで、レジの台数を見直したり、接客業務などに人員をシフトしたりでき、レジ運用にかかるコストや店舗スペースの削減、付加価値の高いサービスの提供につなげることができる。

 「消費者は、合計金額を確認しながら買い物をすることで、買い過ぎを防止できるほか、レジに並ぶ必要がないため、買い物時間の短縮などにつながる。一方で小売事業者は、店舗内における消費者の購買履歴や行動データを収集することで、プロモーションへの活用や、新たなマーケティング活動への応用が可能になる」とした。

店舗側のメリット

 「Brainforce ウォークスルーチェックアウト」および「Brainforce キャッシュレス決済」の価格は、いずれも個別見積もりとなっているが、10店舗以下で、会員数が1万人以下の小売業者の場合で、月額30万円からを予定している。「かなり大規模な店舗への対応を図ることもできる」とした。

 Brainforceシリーズでは、今後も新たなサービスを提供。2021年度上期には、スマホをベースにしたネットスーパー機能や、ギフト予約販売機能、ピックアップロッカー機能のほか、インストアマーケティング施策機能、従業員の業務支援機能などを順次商品化。店舗内外で利用できるスマホアプリのテンプレートも拡充する予定だ。

 「小売業者のデジタルシフトや新たなビジネスモデルの確立支援をコンセプトに、目まぐるしい変化に対応できる柔軟性と、短期でのシステム構築を可能にするのがBrainforceシリーズである。新たな消費者の購買行動やデジタル化など、変化する環境に合わせたソリューションを提供することで、リテールビジネスのデジタルシフトを強力に支援したい」としている。