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SAPジャパン、HANA CloudとData Warehouse Cloudを数カ月以内に国内データセンターから提供開始
オンライン記者説明会レポート
2020年4月24日 06:00
SAPジャパン株式会社は23日、クラウドデータマネジメントサービスの「SAP HANA Cloud」と「SAP Data Warehouse Cloud」を、日本国内のデータセンターから4~6月中に提供開始すると発表した。
SAPジャパン バイスプレジデント プラットフォーム&テクノロジー事業本部長 チーフイノベーションオフィサー 首藤聡一郎氏は、「限られた経営資源を有効活用するために、国内でもSAP HANAのユーザーが増加している。HANAは、在庫や売上実績といったオペレーショナルデータと、その実績が市場でどう受け止められているかといったエクスペリエンスデータをつなぎ、価値へと導く役目を果たしている。これをクラウドでも利用したいという声が多かったことから、今回のサービス提供に至った」と述べている。
Database as a ServiceのSAP HANA Cloud
SAP HANA Cloudは、インメモリデータベースをクラウド環境で提供するDatabase as a Service(DBaaS)で、HANAの処理能力とパフォーマンスをクラウドで利用できる。
SAPジャパン プラットフォーム&テクノロジー事業本部 SAP HANA CoE シニアディレクターの椛田后一氏は、「今回クラウドでサービスを提供するにあたり、複数の機能を強化した」と話す。
強化した機能は、仮想データアクセス機能とデータ階層化管理機能、そしてコンピューターリソースを柔軟に追加できる機能だ。
このうち仮想データアクセス機能では、他システムとの連携機能を強化した。これにより、リモートにあるOracleやSQLなどのさまざまなデータソースがリアルタイムで連携してHANAにコピーされ、他システムのデータがHANA上で確認できるようになる。企業内のデータを仮想統合することで、分散データ環境でのデータ活用が容易になるほか、柔軟なデータ管理が可能となる。
2つ目のデータ階層化管理機能は、データを使用頻度に応じて階層化し格納する機能だ。使用頻度が高いホットデータはインメモリに格納し、使用頻度の低いコールドデータはリレーショナルデータレイクに格納するといったように階層化することで、「大容量のデータを管理できるほか、性能とコストの最適化が可能だ」と椛田氏は説明する。
また、柔軟にリソースを拡張できる機能は、クラウドネイティブならではの機能で、2020年内の提供を予定している。コンテナベースの仮想化技術Kubernetesを採用し、システムの負荷に応じてコンピューティング能力とストレージリソースがきめ細やかに制御できるようになるという。
データ活用プラットフォームのSAP Data Warehouse Cloud
一方のSAP Data Warehouse Cloudについて椛田氏は、「データウェアハウス(DWH)専用データベースのクラウドサービスというよりも、ビジネスユーザーのためのデータ活用プラットフォームサービスだ」と主張する。ユーザーインターフェイスもビジネスユーザーが使えるよう新たに設計されているという。
IT部門と業務部門のユーザーがコラボレーションしてインサイトを見い出せるようになっており、基幹システムとのデータ提供基盤としても利用できる。さまざまなデータを単一のデータアクセス環境に統合することから、分散したデータ環境全体にスムーズにアクセスできるとのこと。
バックエンドのデータベースにはSAP HANAを使用しており、データへの高速アクセスが可能だ。また、SAP Data Warehouse Cloud上にて、SAP Analytics Cloudを利用したデータ活用もできるという。
価格は、使用した分のみ利用料金を支払う柔軟な設定で、従来のDWHのように高額な初期投資コストがかかることもない。事業分野ごとにリソースを再配分するなど、データの需要に応じて柔軟にスケールすることが可能だ。
なお椛田氏は、今回発表した2つのサービスの戦略について、「HANAと同様、両サービスは、データ活用を推進し、円滑な企業活動をサポートすることが目的だ」と話す。
データ活用については、SAPのERPデータのみならず、ERP以外のデータも活用するほか、「過去のデータだけでなく、リアルタイムデータや、AIを活用した予測値も含めて活用できるような基盤を目指している」とした。