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無償で使えるリモートデスクトップ型「シン・テレワークシステム」、NTT東日本やIPAが提供

10月31日までの実証実験

 東日本電信電話株式会社(NTT東日本)および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は21日、契約不要・ユーザー登録不要で利用できるリモートデスクトップ型テレワークシステム「シン・テレワークシステム」の提供を開始した。実証実験として10月31日まで無償で提供される予定だが、同実証実験の進捗および新型コロナウイルスにかかわる状況によっては延長する場合がある。

 職場のPCに専用ソフト「シン・テレワークシステムサーバー」、自宅のPCに「シン・テレワークシステムクライアント」をそれぞれインストールし、サーバーIDやパスワードを入力することで、自宅から職場のPCにリモートアクセスできる。ソフトの対応OSはWindows 10/8.1/8/7/Vista/XP、Windows Server 2019(R2を含む)/2016/2012/2008/2003。

 ユーザー認証(パスワードまたはデジタル証明書)とTLS 1.3で暗号化されたSSL-VPN通信チャネルを用い、セキュリティを実現。端末間はインターネット上に構築される「分散型クラウドゲートウェイ中継システム」を介して接続され、職場のPCがプロキシやファイアウォールの内側にあっても、ポート転送や例外設定を追加する必要がない。また、企業のセキュリティポリシー上、ファイルの持ち出しを禁止したい場合、サーバー側にはファイルの転送を禁止する「共有機能無効版」も用意されている。

 NTT東日本の「フレッツ回線」に限らず、各種インターネット回線でも利用可能で、NTT東日本との契約やユーザー登録は一切不要としている。一方、同システムを利用するユーザーへの個別のサポートや問い合わせへの対応、保証の提供はない。

 同システムは、NTT東日本の新型コロナウイルス対策プロジェクト特殊局(仮設)およびIPA産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室が共同で構築し、筑波大学OPENプロジェクト、株式会社KADOKAWA Connected、ソフトイーサ株式会社などの複数組織の連携協力により実現した。これらの連携協力組織で研究・開発、整備されてきた各種技術や実験用通信インフラを統合して緊急で構築し、無保証かつ非営利で一時的に開放するもの。

 開発中のプログラムや中継システムの技術向上を目的として行う共同実験であり、「常時品質が保証される通信サービスではない」ことも明言している。不具合が発生する可能性もあるが、緊急事態下において同システムを速やかに広く公開することを最優先にしたと説明する。そのため、ソフトやサービスを利用したことが原因で、何らかの損害が発生した場合でも、NTT東日本やIPA、連携先組織では一切責任を負わないとしている。

 なお、ユーザー間での相互のサポートを目的としたウェブフォーラムも近日中に提供する予定だという。