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米AppDynamicsが日本法人を設立、APM製品を国内販売

米AppDynamics社 創業者兼CEOのジョティ・バンサル氏

 アプリケーションパフォーマンス管理(APM)ソフトの開発・販売を行う米AppDynamics社は5月23日、日本法人「アップダイナミクス ジャパン合同会社」を設立し、同日より日本国内における営業を開始。APM「AppDynamics Pro」を、国内販売パートナーを通じて販売する。

 日本法人設立の発表会で、米AppDynamics社 創業者兼CEOのジョティ・バンサル氏は、「当社は2008年に設立し、APMの分野で急成長している。主力製品の『AppDynamics Pro』は、世界ですでに1200社以上の導入実績をもっており、北米からヨーロッパ、そしてアジア・パシフィックへと販売地域を拡大している」と、同社の事業概況を説明。「今回設立する日本法人は、イギリス、オーストラリアに次ぐ現地法人となり、アジア・パシフィック地域における重要な戦略拠点として位置づけている。これを機に、日本市場へのコミットをさらに強化していく」との考えを述べた。

 同社が急成長している市場背景について、バンサル氏は、「現在、あらゆる業界のさまざまな場面でソフトウェアが活用されている。世界がソフトウェアに飲み込まれつつあるといっても過言ではない。その中で、根源的な価値の提供をソフトウェアを通じて行う“Software-Defined Business”を展開する企業や組織も現れてきている」と、ソフトウェアがビジネスの中核を担う存在になってきていると指摘。「また、アプリケーションアーキテクチャの世代交代が進み、クラウドコンピューティングへと急速にシフトしている。クラウドでは、巨大で複雑なソフトウェアプラットフォームの上でビジネスが展開されるため、今までのようなIT管理は機能しなくなる。これからのクラウド時代には、サーバーやシステム基盤ではなく、トランザクションを管理対象の第一義にすることが求められる」と、クラウド環境ではアプリケーションのトランザクション管理が重要になると述べた。

 これに対して同社では、当初からトランザクションにフォーカスしたAPMソフトとして「AppDynamics Pro」を開発。Webアプリケーションのビジネストランザクションを可視化し、リアルタイムにビジネスに生かす「アプリケーション・インテリジェンス」を推進しているという。

「AppDynamics Pro」のダッシュボード画面

 「AppDynamics Pro」では、クラウドやモバイルの普及で複雑になった分散システム環境において、情報の自動収集によりアプリケーションのパフォーマンスを可視化し、ビジネスと直結するWebアプリケーションのサービスレベルを維持する。また、アプリケーションにおけるビジネストランザクションの相関を可視化し、レスポンスタイムを監視することで障害や遅延の予兆をアラートする。

 障害や遅延が発生した場合には、リアルタイムに根本原因の究明とトラブルシューティングを実施。アプリケーションのレスポンスと売上などのビジネスへの影響を自動的に関連づけてグラフ化し、経営視点で活用することができる。さらに、これらの機能を、本番稼働環境において、システム全体への負荷を2%未満に抑えて実行できるのが特徴となっている。

 バンサル氏は、「Webアプリケーションでは、1つの機能を動かすたびに、数万行のコードが実行される。『AppDynamics Pro』は、このコードの動きを常に監視し、すべてのデータに自動でコンテキスト・タグをつけていく。これによって、それぞれの企業が抱えるビジネス課題に対して、1秒以内で応えることができる。たとえば、『アプリケーション障害によって影響を受けたモバイルユーザーの数』や、『週末に購入された商品の数量と金額』、『イベント時に実施したキャンペーンの売上に対するインパクト』などについて、瞬時に回答を得ることが可能だ」と、「AppDynamics Pro」のメリットを訴えた。

アップダイナミクス ジャパン 代表の中川寛氏

 日本法人のビジネス戦略については、アップダイナミクス ジャパン 代表の中川寛氏が説明した。「日本市場では、直販ビジネスは行わず、100%販売パートナーを通して提供する。関東(東京)、関西(大阪)、中部(名古屋)の各エリア、マーケットごとに販売パートナーとの協業を進めていく。すでに、新日鉄住金ソリューションズ、丸紅情報システムズ、エッジスクウェア、バーチャルコミュニケーションズの4社とリセラー契約を締結している」と、販売パートナーとの連携により東名阪の3エリア同時に販売を強化していくという。

 「また、クラウドサービスの提供にも力を注ぎ、APM as a Serviceを展開する企業へのアプローチも進めていく。サポートについては、販売パートナー各社が1次サポートに対応するほか、米国、インド、英国の3拠点によるグローバルサポート体制を整えている」と話した。

 同社では、今後3年間で、販売パートナーを10社まで増やして販売網を拡充し、日本における導入企業数を240社まで拡大していく計画だ。

唐沢 正和