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日立、企業の研究開発部門向けにデータの管理・利活用を支援する「研究開発データ管理ソリューション」を提供開始
2020年3月26日 09:00
株式会社日立製作所(以下、日立)は25日、企業の研究開発部門向けに、学術機関や企業の各種論文や実験・観測・調査データなどの研究開発データを効率的に管理・利活用する「研究開発データ管理ソリューション」を提供開始した。価格は個別見積もり。
日立では、国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センター(以下、RCOS)が開発した、研究開発データを適切に管理・公開するための基盤「GakuNin RDM」「WEKO3」を活用し、さらに日立独自の各種Lumadaソリューションとの連携を可能にするなど、独自機能を付加した研究開発データ管理ソリューションを、企業の研究開発部門向けに開発した。
ソリューションは、組織や研究者ごとに保有する研究開発データをシームレスに管理するためのシステム基盤を、クラウド形態やオンプレミス型など利用企業のニーズに応じた形で提供し、データ利活用の促進を支援する。これにより、研究開発部門をはじめとした企業や組織内でのデータ利活用を加速するほか、企業横断のプロジェクトにおいてもセキュアな共同研究データを共有する環境を手軽に実現できるなど、企業の研究活動の促進、研究開発力向上に寄与する。
従来、研究開発データは、企業・組織や研究者ごとに個別に管理することが一般的で、共同研究の際には、その都度、共同研究者が利用可能なファイル共有システムを構築するといった対応を必要としていた。また、研究開発データとデータ解析プログラムやシミュレータなどの保管場所が異なるため、同一画面で解析結果を確認できないことや、開発したプログラムを共同研究者に円滑に周知する仕組みがないなど、多くの課題があったという。
今回、日立が開発したソリューションで提供するデータ管理のためのシステム基盤は、拡張性の高いアーキテクチャで構成しており、論文や研究データの公開に欠かせないDOI(インターネット上の電子資料を一意的に識別するコード)の採番といったさまざまな機能を実装しているため、各組織が保有するデータへのアクセスや検索を効率的にできるなど、研究開発部門の文書管理に適するとしている。
また、研究者や組織ごとに管理する実験データなどの「クローズドデータ」は組織内の環境下で保管し、他組織の研究への利活用のために公開する「オープンデータ」は研究管理者が公開フラグを立ててアクセス権限を付与するといったアクセスコントロールが可能で、外部の共同研究者によるセキュアなデータの編集・参照が行える。
さらに、日立の「材料開発ソリューション」などの各種Lumadaソリューションと連携することで、データ利活用のさらなる促進が可能となる。研究開発データ管理ソリューションは、Lumadaソリューションの導入を迅速・容易に実現する「Lumada Solution Hub」から提供する。
日立では、ソリューションの提供開始に先立ち、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)に、ソリューションの中核となるオープンソースソフトウェア「Open Science Framework」を用いた、各種研究データの効率的な管理やシミュレータツールの情報集約のための「材料設計シミュレータ統一GUI」システムを納入した。同システムを活用することにより、産総研と連携契約を結ぶ企業や大学との間で、各研究者が開発した解析プログラムの概要や活用方法の共有から研究開発データの可視化まで一連の情報連携をワンストップに実施することができ、今後の研究開発データの管理・利活用の促進が期待されるとしている。