ニュース

データ活用の国別分析で日本は最下位、その原因は?――、Splunkが調査報告を発表

オンライン記者説明会レポート

 データ基盤ベンダーのSplunk社は、企業のデータ活用に関する調査報告「What Is Your Data Really Worth?(データの本当の価値を探る)」を発表した。

 それによると、先進的にデータを活用する企業では、データの活用により収益が平均5.32%増加し、コストが平均4.85%削減したという。

 また、データ活用の国別分析において、日本は調査した7カ国のうち最下位。その原因として、分析スキルの不足やCDO(最高データ責任者)の不在、IT予算におけるデータ予算の額などを指摘している。

ダークデータの活用は1年で1社平均3820万ドルの価値

 調査報告の内容について、Splunk Services Japan 合同会社 日本法人 代表 / エリア ヴァイス プレジデントの福島徹氏が、3月17日に開催されたオンライン記者説明会において解説した。

 今回の調査報告は、2019年5月に発表された、企業で活用されていないデータに関する調査報告「ダークデータの現状」に続くもの。前回は60%の回答者が、社内の半分以上がダークデータであると答えるといった結果が発表された。

 今回の調査はEnterprise Strategy Group(ESG)との共同による。豪州、中国、フランス、ドイツ、日本、英国、米国の7カ国から、ビジネスリーダーおよびITリーダー1350人を対象に、2019年の夏に調査した。

 業種は、金融、テクノロジー、製造・資源、通信・メディア、ヘルスケア・ライフサイエンス、小売、公共機関、大学・研究機関の3業種。企業規模も500人からと、幅広くとられた。

 回答内容をもとに意欲、成熟度、組織全体での取り組みから企業を分類。活用を検討中の「データデリバレイター」(49%)、活用に取り組んでいる「データアダプター」(40%)、先進的に活用している「データイノベーター」(11%)の3つに分けて、それぞれの特徴をまとめている。

 この3分類の企業で活用できているデータの割合は、データデリバレイターでは32%、データアダプターでは41%だという。そしてデータイノベーターでも48%だが、データをリアルタイムで利用しているのが特徴だと福島氏は説明した。

調査対象
調査結果から企業を3つに分類

 効果としては、まず収益の増加が挙げられる。ダークデータだったデータの活用により、データデリバレイターで平均2.85%、データイノベーターで平均5.32%(1,540万ドル)の収益増加があったという。

 続いてコスト削減では、データイノベーターで平均4.85%(2,280万ドル)のコスト削減があったとのこと。

 この両者をもとに、データイノベーターはダークデータだったデータの活用により、過去1年で平均3820万ドル、年間の総売上高の約12.5%がもたらされていると福島氏は説明した。

効果:収益の増加
効果:コスト削減

日本のデータイノベーター企業の割合は7カ国中最下位

 データイノベーターの条件を満たした企業の割合は、世界で平均11%。国別に見ると、米国とドイツの2国が平均を上回っている(どちらも16%)。

 日本は7位で最下位。データイノベーターの数が0%であり、データデリバレイターが74%と、他国に比べて突出して多いのが特徴だ。

 その原因として福島氏は、テクノロジーの導入、スキル開発、組織体制への投資が他国より遅れていると指摘した。CDO(最高データ責任者)を置いている企業の割合で日本は最下位(38%)で、またIT予算の中でのデータ分析の予算の割合も最下位(10%以下)だという。

国別比較。日本は最下位
日本の状況の分析

 そのほか業種別に見ると、データイノベーターの条件を満たした前述の平均11%を上回るのが、テクノロジーと金融の2業界であることも報告された。

業界別比較

 これらの結果をもとに、福島氏は推奨される取り組みとして「成功に向けて投資」「リーダーシップの確立および支援」「分析ツールを民主化」「あらゆることを自動化」「価値と機会を計測する」の5つを挙げ、「Splunkがサポートさせていただきたい」と語った。

 特に5つめの計測に関連して、5~10分程度の質問に答えていくことでデータ活用度を診断する「データ活用度評価ツール」をオンラインで公開したことも紹介された。

推奨される取り組み
データ活用度評価ツールのデモ(オンライン記者説明会より)