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日本の裁判所が「Microsoft Teams」採用、民事訴訟手続きのIT化にて活用へ

 日本マイクロソフト株式会社は9日、最高裁判所(以下、最高裁)が推進する民事訴訟手続きのIT化において、コラボレーションツール「Microsoft Teams」が採用されたと発表した。

 従来、民事訴訟手続きの争点整理手続では、当事者が遠隔地に居住しているなどの理由がある場合、電話会議/テレビ会議システムを利用することができた。

 しかし、電話会議では当事者や裁判官が互いに表情などを見られるない点が課題だったほか、映像を伴うテレビ会議を利用する場合でも、裁判所間の接続に限られているため、訴訟が係属する裁判所に出頭できない当事者は、最寄りの裁判所までは出頭しなければならなかった。さらに電話会議やテレビ会議では、裁判官と両当事者が、同じ書面や図面の同じところを見ながら協議することも難しかったという。

 こうした制約から、電話会議/テレビ会議の利用は活発になっておらず、遠隔地間における訴訟は出張を伴っていたため、当事者や代理人弁護士の移動時間、費用などの負担が重かったとのこと。

 さらには、裁判所と両当事者で裁判期日を調整する際にも、移動時間を考慮する必要が生じてしまうので、なかなか都合が合わず、次回期日が先の日程になってしまうこともあったという。

 そこで今回は、こうした課題を踏まえ、裁判手続のIT化を実現するフェーズ1の取り組みとして、争点整理でのMicrosoft Teamsの利用が可能になった。同サービスを利用することにより、裁判の関係者は、場所にとらわれることなくMicrosoft Teams上で資料を同時に閲覧し、表情なども確認しながら争点を確認、議論できるようになったとのことだ。

 具体的には、2020年2月から、知的財産高等裁判所をはじめとした9カ所の裁判所で取り扱われる民事訴訟事件の争点整理において、Microsoft Teamsの活用が可能になる。また2020年5月ごろからは、横浜やさいたま、千葉など、さらに5カ所の裁判所でも対応が予定されている。